「太い体型」は良いこと? 豪州で女性の皮下脂肪が命を救う。

2008/09/29 16:21 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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概して「太りすぎは体に良くない」というのは、医学的に見ても当たり前な事実ですが、時にはこの体型が命を救うこともあるようです。

1990年ごろから「体の一部の細胞が壊死を起こし、それが急激に全身に広がる」という臨床例がヨーロッパなどで報告され始めました。これは進行が大変に速く、手足の場合は切断をするなどの救急処置をしないと、結果として死に至ることもあるという怖い病気。病原菌となる微生物は「人食いバクテリア」と言われ、日本のメディアでも大きく取り上げられました。

このバクテリアは院内感染する場合が多く、そのことからも抗生物質が効かない、薬剤耐性菌であることが判ります。欧米では保険料の高さなどから、手術の直後でも患者をできるだけ早いうちに退院させることが多いのですが、結果的にこの院内感染を防ぐために役立っているようです。

しかしどんなに気をつけても、やはり時にはこの「人食いバクテリア」に感染してしまう不運な患者さんが出てしまうようです。オーストラリアのビクトリア州に住むクレア・ロビンソンさんも先日、卵巣腫瘍の摘出を受けた後、高熱と腹痛の症状が出たために検査を受けたところ、腹部の皮膚などからこの細菌が検出されました。

感染は急激に広がっており、治療は一刻を争います。医師団は患部の皮膚を切除する手術を3日ごとに行うなど、かなりアグレッシブな方法でバクテリアに応戦。結果、ロビンソンさんは一命をとりとめました。

しかし彼女の命が助かったことの大きな要因は、医療の力もさることながら、彼女のふくよかな体型にもあったそう。お腹の皮下脂肪が細菌の侵食を防ぎ、内臓を守った形になりました。肝臓などの機能不全に陥っていたら、もっと危険な状態になっていたことでしょう。

「太っていたことが、結果的に私の命を救ってくれたの」

と語るロビンソンさん。病気から回復して健康に戻ったあとは、恋人からプロポーズも受け、今は幸せいっぱいなんだとか。ハッピーエンドで本当によかったですね。

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