フジロックとサマソニの入場者数減少、邦楽系フェスとの明暗くっきり。

2008/09/28 23:01 Written by コジマ

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1997年に始まり日本に野外ロックフェスティバルを定着させた「FUJI ROCK FESTIVAL」(フジロック)と、後発ながらアクセスの良い都市部で開催して人気を博している「SUMMER SONIC」(サマソニ)。ともに国内外のミュージシャンが集結する日本の「2大フェス」として君臨しており、フジロックは2006年に10回目を迎え、サマソニは10周年となる09年に計3日間で開催されることが発表された。サマソニの主催者であるクリエイティブマンは、3日間の総来場者数を30万人と見込んでいるようだ。

ところが、日本が誇るこの2大フェスの入場者数が、今年は減少したことが明らかになった。その一方で、「RISING SUN ROCK FESTIVAL」(RSR)と「ROCK IN JAPAN FES.」(RIJ)は増加しており、洋楽系フェスと邦楽系フェスで差がついてしまったようだ。

毎年着実に入場者数を増やしていた洋楽系フェス。フジロックは昨年に前夜祭を合わせた4日間の入場者数が12万7000人の史上最多を記録したと発表されたが、「日経エンタテインメント!」によると昨年の3日間では11万2000人で、さらに今年は8000人減の10万4000人だったという。毎年、3日間のうちチケットが売り切れ日があるのだが、今年は全日程で当日券が発行された。サマソニは昨年の20万人から1万人減の19万人で、こちらも東京公演の2日目以外は当日券が販売されている。

一方、両フェスとともに「4大フェス」と呼ばれる邦楽系のRIJとRSRは、それぞれ前年に比べて3000人増の15万人、1万人増の8万人。総数では洋楽系フェスのほうが依然として上だが、苦戦の様子が数字からも分かる。「日経エンタテインメント!」はこの原因として、夏フェスの乱立(今夏は50超)とフェス観客の趣向が邦楽にシフトしていることを挙げている。

フジロックは最終日のヘッドライナーだった「ミスターフジロック」こと忌野清志郎が、病気のため急遽出演をキャンセルしたことも痛かった。代役を務めたプライマル・スクリームは2日目に出演していたこともあり、フェスを締めくくる大トリがインパクトに欠けていたのは否めないだろう。さらに、魅力的な出演者が少なかったことから、主催者であるスマッシュのブッキング力低下を指摘する声も少なくない。

サマソニは例年と比べて邦楽の出演者が少なかったことが観客減の一因とされており、主催者のクリエイティブマン側も邦楽ミュージシャン出演の必要性を感じているという。しかし、邦楽ミュージシャンが洋楽フェスに出演することを歓迎しないファンも少なくないため、バランスのとり方が今後の課題となりそうだ。クリエイティブマンは近年、「LOUD PARK」や「PUNKSPRING」などターゲットを絞った比較的小規模なフェスの開催も試みている。

とはいえ、英米のフェスも入場者数減は主催者の悩みのタネとなっており、特に客層の中年化が指摘されている。フェスを盛り上げるには若年層の存在が不可欠なため、あの手この手で対策を講じているという。また、今年は世界最大級の英グラストンベリーですらも入場者数が減少したことから、今年のフェスは世界的に客が呼べる出演者が少なかったとの意見もあるようだ。

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