錦織圭全米OP16強入りの秘密、松岡修造&五輪代表監督が分析。

2008/09/06 18:55 Written by コジマ

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今年のテニス全米オープンで、日本勢として71年ぶりにベスト16に進出した錦織圭選手(ソニー)。4回戦で同じ10代の新星・フアンマルティン・デルポトロ選手(アルゼンチン)に惜しくも敗れてしまったが、今回の快進撃は日本だけでなく地元米国や本場英国のメディアをもうならせ、バーレーン紙には対戦相手のサッカー日本代表よりも大きく取り上げられた。特に、3回戦で世界ランキング4位のダビド・フェレール選手(スペイン)を破ったことで、世界中から注目を浴びている。

錦織選手はこれまでもデルレイビーチ国際選手権で優勝し、アルトワ選手権では世界ランキング2位(現1位)のラファエル・ナダル選手(スペイン)を相手に善戦するなど実力の片鱗を見せていたが、大舞台での大金星は初めてのこと。4大大会出場3回目にして16強入りした強さの秘密を、9月5日発売の「フライデー」が北京五輪テニス日本代表の竹内映二監督と松岡修造氏に聞いている。

初の五輪出場となった北京大会では、初戦敗退といまいちな成績だった錦織選手。しかし、竹内監督は「ランキングこそ世界126位ですが、もともと潜在能力は非常に高い。北京では腹筋の肉離れが治りたてだったため、本領を発揮できませんでしたが、グランドスラム(世界4大大会)で16強入りするだけの力を持っています」(フライデーより)と、今回の快進撃が「フロック」ではないと証言している。

強さを支える“武器”としては「広範囲でフォアが打てる器用さ」と「試合巧者であること」を挙げた。前者は速くて強いショットが立て続けに打てるためサービスゲームを支配でき、後者はゲーム状況によって体力を温存したり、打ち方のリズムを変えて相手を翻弄できる点が強みだという。

さらに同監督は、上位の辞退者が相次ぎ本番のコートで十分な練習ができたという「ツキ」があったことも16強入りできた要因としている。また、両親が現地に駆けつけ、試合以外の時間を共に過ごせたという点もプラスに働いたようだ。

一方、錦織選手の渡米前に指導していた松岡修造氏は「圭はメンタル面の強さや試合運びは素晴らしい」(同誌より)としつつも、「体力がまだ追いついていない。だから、試合中に足の痙攣を起こしたりする」(同誌より)とあえて現在の弱点を指摘。それでも全米オープンで快挙を達成できたのは、竹内監督同様、体力を温存しながら試合を進められる試合巧者であることを挙げている。「いわば100%の力を出さなくても試合に勝つことができている」(同誌より)と絶賛だ。

松岡氏は、自身のブログでもデルポトロ戦での錦織選手について「相手の安定したストロークを完全に崩すテニス。すべてのポイントで主導権を握ってしまう圭。どんなにバランスを崩されても、一本のショットで自分の空間に持っていけることができるのです。デルポトロは“こんなテニスをされたらどうしようもない”という仕草を何度も見せる(その気持ちはわかります。こんなテニスをする選手とはやったことがないはずですから・・・) 」とつづっていた。

しかし、これからナダル選手や237週間世界ランキング1位を守っていたロジャー・フェデラー選手(スイス、現2位)らトップ選手と戦っていくだけの体力を付けるためには、最低でもあと2年はかかるとしている。このことについては、ブログでも「圭が目指しているのは、世界ナンバー1! そしてグランドスラムで優勝すること! だからこそ、いまは基礎作りに専念して欲しいし、体力もつけていってほしいのです」と言及していた。

そのため松岡氏は、ファンに向けても「皆さんも焦らず見守ってほしいと思います」(同誌より)、「この2年間のランキング、そして結果に関してはあまり一喜一憂せずに見守ってあげてください。圭のテニスが完成するのを楽しみに、みんなで見守っていましょう!」(公式ブログより)と呼びかけている。

ナダル選手をして「いずれトップ10、トップ5に入ってくる選手。あと1年すれば頭角を現すだろう」と言わしめ、米メディアからも「島根からやってきた18歳の日本人が、全米オープンの歴史を作った」と激賞された錦織選手。ジャンプショットと巧みな試合運びを武器に「エア・ケイ」がテニス界の頂点に立つ日は、そう遠い話ではなさそうだ。

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