星野ジャパンの敗因をデータ検証、WBC連覇のカギは内角への対応?

2008/09/03 22:41 Written by コジマ

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北京五輪での惨敗から約2週間、野球日本代表を率いた星野仙一監督への批判は現在も鳴り止まず、来年3月に開幕する第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の監督選考も難航している。国民の心はWBC連覇で一致しており、“戦犯”を探すよりも北京での敗因をしっかりと検証し、次に生かしてもらいたいところだ。

大会後は星野監督の采配や球審の判定、ケガ人の続出、さらには代表選手間の不和などさまざまな敗因が各メディアで取り上げられているが、9月3日発売の「週刊ベースボール・タイムズ」はこれまでとは違った角度から敗因を検証。WBC連覇のカギも浮き彫りとなった。

毎週、緻密なデータから野球に関するさまざまな事象を検証している同誌、今回も他のメディアではあまり見られないデータを挙げ、星野ジャパン「4勝5敗」の原因を探っている。

最初に挙げているのは攻撃、特に代表が掲げていた「つなぎの野球」ができなかったことだ。日本のお家芸とされる「スモール・ベースボール」は、米大リーグでも2005年シカゴ・ホワイトソックスのワールドシリーズ制覇や日本のWBC優勝で「スモール・ボール」として注目され、今季はその「スモール・ボール」を応用した「ソーシア・ボール」を実践するマイク・ソーシア監督率いるロサンゼルス・エンジェルスが快進撃を続けている。

しかし、北京での日本は「つなぎの野球」に徹することができなかった。データを見ると、イニング先頭打者出塁時の得点確率は40.9%、連打数は9試合で8度で1試合平均0.89となっている。これは、前者が今季プロ野球平均の44.8%、後者が今季リーグトップの広島(1.78)とソフトバンク(1.88)を下回る数字だ。「最強メンバー」を招集した星野ジャパンとしては、物足りない成績だろう。一部メディアでは「チャンスにあと1本がでなかった」と評されたが、得点圏打率は.290で、走者なしの.234、走者一塁の.152を大きく上回っている。

さらに、走者なし・走者一塁時に球へ手を出した率は、プロ野球平均の25.8%に対して星野ジャパンは29.6%。逆に得点圏では同30.1%、27.6%となっており、じっくり攻めるべきところで手を出し、得点圏では消極的になっていたことを示唆しているという。ボール球に手を出す率も28.6%と、プロ野球平均の26.1%より悪い数字だ。

同誌はこの原因として、初対戦の投手がほとんどで狙い球がしぼりきれなかったこと、球審のストライクゾーンに対応できなかったこと、デーゲームが多かったこと(北京ではナイトゲームの打率.255に対しデーゲームの打率は.189だった)などを挙げた。また、直球(打率.289)に比べて変化球(同.190)に苦戦していたことも明らかになっている。

一方、投手ではチーム防御率こそ他国と変わりないが、先発投手の防御率2.15、被打率.181に対して救援投手は同3.09、.212と、多くの人が指摘している通り救援陣が打ち込まれたことがデータでもはっきりと出ている。被打率.212は悪い数字ではないものの、走者なし.197、走者一塁.095に比べて得点圏で.323と、重要な場面で打たれたことが原因となっているようだ。

最後に同誌は、コース別の成績で打率が真ん中の.365、外角の.230に比べ、内角で.148と低下しており、逆に被打率は内角が.299と最も悪いこと、ボール球を見送る率も内角がプロ野球平均を2.5ポイント下回っていることを挙げ、WBC連覇のカギを「バッテリーは内角の使い方、打者は内角への対応を考えなければ」としている。

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