マデライン・ロブさんと、メーガン・サントスさんは、不思議な縁で結ばれているようです。彼女たちは数年前に妊婦さん向けのオンライン・コミュニティで知り合いました。同じころに出産を迎えると知った2人は意気投合して、メールやチャットで親交を深めて行ったそうです。ロブさんは英国、かたやサントスさんは米フロリダという海を越えたお付き合いでしたが、偶然にも同じ日にそれぞれ娘さんを出産したこともあり、友情はさらに深まっていったのでした。
ある日サントスさんは、娘のローワンちゃんの写真をロブさんあてに送ります。そしてこの1枚の顔写真が、ローワンちゃんの命を救うことになるとは誰が想像したでしょう。
ロブさんはローワンちゃんの左目の瞳孔部分が白くなっているのに気が付きました。カメラのフラッシュに反射した目が赤くなることはよくありますが、こうして白い影になっているのは珍しいと、ロブさんはネットでその原因を調べ始めたのです。すると「網膜芽細胞腫」というガンの病状にこのような現象があると判ったのです。
このガンは小児に発生する目の病気。15,000人に1人程度の確率で起こります。胎児の時にすでに発症することもあるそうで、目の中の網膜からガン細胞が転移し、命にかかわる怖い病気なのだそう。
このことを知ったロブさんは、サントスさんにすぐにメールを打ちます。最初は単なる思い違いかもしれないし、彼女を無意味に心配させるだけかも……と躊躇したそうですが、ローワンちゃんの健康を思う気持ちがロブさんを奮い起こしました。
メールを受け取ったサントスさんは、すぐにお医者さんに予約を入れます。確かに最近、娘の左目の色がおかしいことに気が付いていたので、ロブさんの連絡に背中を押された形になったようです。そして翌日お医者さんからさらに専門医を紹介され、検査の結果やはり「網膜芽細胞腫」だと判明しました。
結果的にローワンちゃんは左目を失ってしまうことになりましたが、幸い、発見が早かったため転移はせず、命に別状はありませんでした。サントスさんは実際に会ったことがないチャット友達が娘のことをそこまで心配してくれたことに、感謝しきれないといった様子で、
「彼女こそヒーローだわ」
と賞賛しています。それにしてもロブさんは医療の専門家でもないのによくそこまで調べることができましたねぇ……。子を思う母親として、友を助けた彼女。これからも、海を越えた彼女たちの絆は強く結ばれていくことでしょう。