野茂を松坂&ダルビッシュと徹底比較、完投率と奪三振率で圧倒。

2008/08/20 23:08 Written by コジマ

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ダイナミックな「トルネード投法」と力強い投球で、日本だけでなく米国も魅了した野茂英雄投手。今年7月に「自分の中ではやりたいが、プロ野球選手としてお客さんに見せるパフォーマンスは出せないと思うし、同じように思っている球団も多いと思う」(共同通信より)として現役引退を発表したが、日本人メジャーリーガーの先鞭を着け、米大リーグでも数々の記録を打ち立てた野茂投手の輝かしい経歴には、太平洋を挟んで絶賛の声があふれている。

そんな野茂投手について、8月20日発売の野球専門誌「週刊ベースボール・タイムズ」が23ページにわたる総力特集を掲載し、その中で松坂大輔投手(ボストン・レッドソックス)、ダルビッシュ有投手(日本ハム)という現在の日本を代表する2投手と徹底比較している。

1995年の渡米後、ロサンゼルス・ドジャースで新人王と最多奪三振のタイトルを獲得して球宴にも出場、ドジャース時代の96年とレッドソックス時代の01年に大リーグ史上4人目となる両リーグでのノーヒットノーランを達成した野茂投手だが、日本球界でもルーキーイヤーから4年連続で最多勝利・最多奪三振のタイトルを手にしている。特に、新日鐵堺から8球団競合の末に近鉄へ入団した90年は、上記2タイトルのほかに最高勝率、最優秀防御率の投手主要4冠を独占しただけでなく、新人王、最優秀選手(MVP)、ベストナイン、沢村賞にも輝いた。

今回、同誌はこの近鉄時代のデータを用いており、松坂投手の西武時代(99〜06年)の成績、ダルビッシュ投手の05〜08年7月27日の成績と比較している。

各投手の成績は、野茂投手は近鉄時代の5年間で134試合に先発登板して78勝46敗、松坂投手は西武時代の8年間で199試合に先発登板して108勝60敗、ダルビッシュ投手は3年半で84試合に先発登板して43勝19敗となっている。2人と比べ、野茂投手が突出しているのは、何と言っても完投率だ。松坂投手が36.2%、ダルビッシュ投手が29.8%で07年のパ・リーグ平均(9.5%)と比べてはるかに高い数字を記録しているが、野茂投手は59.7%と圧倒的。2試合に1試合以上の割合で完投している。特に1年目と2年目は77.8%、75.9%と圧巻の数字だ。完封率ではそれほど差はないものの、野茂投手9.7%、松坂投手9.0%、ダルビッシュ投手9.5%で野茂投手がトップとなっている。

奪三振率でも野茂投手が9.28で、松坂投手(8.66)とダルビッシュ投手(7.80)だけでなく、通算奪三振数歴代1位の金田正一氏(7.31)をも上回っている。先発完投型の投手で奪三振率9点台は、驚異的な数字だという。

一方、与四球率では4.62で、07年のパ・リーグ平均(3.05)を下回る松坂投手(3.77)やダルビッシュ投手(3.20)に差をつけられている。また、被本塁打割合も33.2打数に1本となっており、松坂投手(1本/43.3打数)、ダルビッシュ投手(1本/56.6打数)よりもかなり低い成績だ。このことから、同誌は「三振か四死球か、あるいはホームランか」というダイナミックなピッチングスタイルが野茂投手の魅力だとし、プロ野球ワーストの16与四球を記録しながらも、191球、3失点で完投勝利した94年7月1日の西武戦を「象徴的な試合」に挙げた。

こうしたデータを見るだけでも、野茂投手が「記録」だけでなく「記憶」に残る希代の投手だったことが分かる。また、ストレートとフルスイングで真っ向勝負した1歳年上の清原和博内野手(現オリックス)との対戦も多くの野球ファンを熱狂させた。これだけの投手ながら引退セレモニーも大きな会見もない“らしい”去り際をみせた野茂投手。今後、日本球界にこうしたダイナミックな投手が出現することを期待したい。

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