飲酒運転の息子を警察に引き渡した「署長」の父親は職権乱用?

2008/08/18 11:50 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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とにかく、ややこしい話なのです。

時間の流れと共に説明します。昨年の7月、ノース・カロライナのとある町で、飲酒運転と思われる車が民家の前庭を通りぬけて行きました。花壇などをめちゃくちゃにされたその家の女性が警察に通報して、2人のポリスマンがやってきたのです。

そして聞き込みをした結果、車を運転していたのは、近くの別の家のパーティに来ていた少年だと判明しました。しかし問題はその少年の身元。なんと彼の父親は、地元警察の署長だったのです。まあ、誰であっても罪を犯したら逮捕されるのは当たり前なんですが、警察官はとりあえず彼らの上司に連絡を取りました。

その後、署長が取った行動は警察としても、父親としても立派なことだと思うのです。自宅で先のポリスマンと待ち合わせした署長は、まず部屋に鍵をかけて出てこない息子のドアを蹴破ります。そして酔っ払って寝入っている息子の頭に水をかけて叩き起こすと、廊下に引きずり出して部下の手に渡しました。

この息子は逮捕されて、今年1月には飲酒運転の有罪判決を受けます。ところが、ここで話は終わらないのです。なんでも、署長がドアを叩き壊したり水をぶちまけた行為は、彼が「勤務中」に行ったことであり、職権乱用になるというのです。さらに米国では誰かが逮捕される時、かならず犯罪者としての権利(弁護士を雇うことや、黙秘をするとこと)があることを説明しなければいけないのですが、それも息子にしていなかったとのこと。そしてなによりも、息子に対する逮捕状がない状態で、彼を取り押さえたというのが一番問題なのだそうです。

父親として、時に子供に厳しく躾をしなければならないのは当たり前のこと。ところが今回のケースは、その父と息子の関係に「警察」と「犯罪者」という関係が覆いかぶさってしまったという……。その結果、今度は署長が捜査の対象になり、もしかしたら法で裁かれてしまう可能性もあるというのです。

この息子と署長は今でも同じ家で暮らしているそうですが、自分が巻き起こした騒動が父親にもトラブルを与えてしまったこと、深く反省してもらいたいものです。

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