北京五輪開会式の「巨大な足跡」花火、実はCGによる合成だった。

2008/08/12 06:11 Written by Narinari.com編集部

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中国を代表する世界的な映画監督の張芸謀(チャン・イーモウ)監督が総合演出を手がけた、8月8日の北京五輪開会式。中国の伝統的な打楽器の迫力ある演奏や、大勢の人員を動員してのマスゲーム、そして聖火台への「空飛ぶ」点火シーンなど、「やや長かった」との声もあるものの、見どころ満載の開会式だった。そんな北京五輪の開会式を彩った演出のひとつ、「巨大な足跡」の花火は「上手い」と評判だったのだが、実はこの演出はCGによる合成映像だったと、英国のデーリー・テレグラフ紙などが、中国の新聞・北京タイムズを引用する形で伝えている。

「巨大な足跡」の花火は、開会式が始まった直後、北京の市街地からメインスタジアムの「鳥の巣」へと向かう空撮映像に盛り込まれていた演出。まるで巨人が歩いているかのように、一歩一歩、市街地から打ち上げられていき、最後に「鳥の巣」の上空にも「巨大な足跡」が現れることで、「巨人が『鳥の巣』に到着した」様子を表現したものだ。花火の形状は見事な「足跡」型で、これから始まる開会式に向け、胸を高鳴らせるのに十分な演出だった。

ところがこの「巨大な足跡」の花火について、北京五輪の映像効果チーム責任者が、北京タイムズに「CGだった」と説明。55秒間の映像に「巨大な足跡」は29個登場していたが、そのうち「鳥の巣」の上空で打ち上げられた最後の一発を除き、28個はCGだったという。当初は実際に打ち上げることも想定していたようだが、28個の花火をタイミング良くヘリコプターから撮影することが難しく、また、ヘリコプターに危険が及ぶ可能性があったことなどから撮影許可が下りずに実写は断念。1年以上の月日をかけて、CG映像を完成させたそうだ。そして映像をよりリアルにするため、ヘリコプターから撮影しているような「揺れ」を加えたほか、北京気象台からアドバイスを受け、「霞がかった空」を再現したとも説明している。

この事実に対し、ネットでは「やけにハッキリしていたのでCGだと思っていた」「映像がキレイすぎだと気付いていた」という“最初から分かっていた派”と、「CGだったのか!驚いた」「CGのようにキレイだとは思ったが、CGだとは思わなかった」という“言われるまで気が付かなかった派”、どちらの派閥も五分五分といった様子だ。

ちなみに、YouTubeには「Olympic footprints」という、開会式当日に北京市街地で撮られたと思われる映像が公開されており、「巨大な足跡」の花火が実際に何発か打ち上げられている様子が映し出されている。

この映像を見る限り、「28発はCG」という映像効果チーム責任者の話と食い違いがあることから、世界に向けて中継で使用された映像にはCGを使い、その裏で「鳥の巣」の外にいる人たちが「地上から見る用」に、「巨大な足跡」の花火が打ち上げられていたのではないかと見られている。

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