「これから、私は自分のなりたいもの、自分の幸せのもっとを探しに行きます」。そう言い残して市井紗耶香が芸能界を去ったのは2003年11月のことだった。あれから5年、ほかの元モーニング娘。メンバーに比べるとあまり近況が伝わってこない市井紗耶香は、今、何をしているのだろうか。
1998年に矢口真里や保田圭とともに第2期メンバーとしてモーニング娘。に加入した市井紗耶香は、当初はあまり目立たない存在だったが、1999年に保田圭や後藤真希とモーニング娘。内ユニットのプッチモニのメンバーに選ばれ、ミリオンセラーを記録したデビュー曲「ちょこっとLOVE」でブレイク。メキメキとかわいさを増していき、モーニング娘。内でも人気のメンバーとなっていった。
ところが、2000年5月に「シンガーソングライターになりたい」との理由でモーニング娘。を脱退。しばらくの休業期間を経て、シャ乱Qのたいせープロデュースのもと、2001年にソロ歌手デビューを果たし、さらに2002年にはたいせーと、オーディションで選ばれたギタリストの吉澤直樹とともに市井紗耶香 in CUBIC-CROSSを結成する。しかし、発売したシングル4枚とアルバム1枚はいずれもヒットせず、2003年11月をもって、市井紗耶香は芸能界を引退してしまった。
引退時に残したメッセージの全文は次のようなものだ。
「これから、私は自分のなりたいもの、自分の幸せのもっとを探しに行きます。2度目の旅です。ちょっとずつでもいいから、わたしが強くなれるように頑張って行きます。いろんな人や物とふれあって、たくさんの刺激を経験したいです。歌が嫌いになったわけじゃなくて、もっとたくさんのことを経験したいって思うようになった。わがままって言われると思うけど、それも市井紗耶香だから。ゴメンね……」
抽象的な表現が多く、なぜ引退の道を歩んだのかというしっかりとした理由が語られなかったが、2004年3月に発売された「フラッシュ」(光文社)に「市井紗耶香が妊娠5か月・結婚で実家にお引っ越し」との記事が掲載され、結局、妊娠が発覚したために引退の道を歩んだことが明らかになった。お相手は市井紗耶香 in CUBIC-CROSSのメンバーだった吉澤直樹。元アイドルと売れないギタリストの結婚に、先行きを危惧する声は少なくなかった。
この報道以降、市井紗耶香に関する情報はほとんど出てきていない。単純に主婦と育児に専念していたから、とも言われているが、最近になって芸能レポーターの井上公造氏が市井紗耶香に触れたり、「BUBKA」(コアマガジン)が追跡レポートを掲載したり、そしてネットで目撃情報が相次いだりと、近況がチラホラ聞こえるようになってきている。
現在、市井紗耶香は千葉県内の、あるショッピングセンターでギャル系洋服店の店員としてアルバイトをしているそう。「BUBKA」では、離婚はしておらず、仕事前に子どもを託児所に預けて出かけていると伝えている。一時は人気絶頂だったアイドルがアルバイトをして生計を立てているという、少し寂しい状況に置かれているようだ。
ほかの元モーニング娘。メンバーは、今もタレントとして活動をしていたり、表舞台に姿を現さなくともつんく♂やメンバーから名前が出ることも珍しくないが、市井紗耶香に関しては事務所とトラブルを起こしたような形で引退しているため、ほとんど名前を耳にする機会がない。まだ24歳。いずれまた、芸能界に戻ってくることはあるのだろうか。