F1「エコ規定」に各チーム猛反発、締切まで4日も来季参加表明ゼロ。

2008/07/28 22:46 Written by コジマ

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F1の歴史は、レギュレーション変更の歴史。競技面だけでなく技術面での規定変更も毎年のように行われており、各メーカーとも右往左往させられている。今年は、タイヤの空回りを防ぐトラクションコントロールシステム(TCS)の使用が禁止されたほか、マシンをつかさどるエンジンコントロールユニット(ECU)が全車共通のものを使わなければならなくなった。TCSの禁止でドライバーの繊細な運転が要求されており、今季のレース中にスピンが多く見られるのはそのためだ。また共通ECU導入は、車体の形状やエンジンの出力が規制され続けている中でECUで差を出そうとしていた各チームの計画を白紙に戻している。

こうした中で国際自動車連盟(FIA)が、2011年からエンジンの燃費を20%良くし12年以降も毎年燃費を向上させるという「エコ規定」導入の方針を示した。これに対して各チームが猛反発し、来季エントリーの締め切りが7月31日に迫っているにもかかわらず参加表明がゼロという事態となっている。

環境問題が世界的に注目されている昨今、大量にガソリンを消費するモータースポーツは日本以上の人気を誇る欧米でも批判を受けている。こうした声に応えるべく、FIAのマックス・モズレー会長はF1の「エコ規定」導入を打ち出したのだが、各チームの猛反発を招いたのは、そのモズレー会長自身が昨年に強行導入したエンジン開発凍結の存在。この規定変更で12年までエンジンの開発を行えないため、各チームはエンジン開発の人員を削減していた。「エコ規定」導入には再び開発人員を増やさなければならず、急な対応は困難な状況だ。

また、エンジン開発凍結導入の際にモズレー会長が理由に挙げていたのが開発コストの大幅カットだったことから、今回の規定変更は「逆行する」との批判も出ているようだ。

そのため、各チームは7月29日にイタリアで会議を開いて協議する予定で、モズレー会長はエンジン開発凍結と同様に強行導入を迫っているが、フェラーリ、BMW、ホンダ、トヨタなどは簡単には屈しない姿勢を示している。日本メーカー関係者によると「参加ボイコットはないだろう。現行のルールでのみ参加を続ける――という条件付きで全チームが一斉にエントリーし、FIAに対抗する可能性が高い」(読売新聞より)という。

来季には、ブレーキ時のエネルギーをため込む運動エネルギー回生システム(KERS)が導入される予定だが、開発中の各チームでは小火騒ぎや開発者が感電するなどのアクシデントが起きている。KERSバッテリーが爆発するとヒ素毒を発生させるとの指摘もされており、こちらも問題点が克服できていない状態。導入延期も検討され始めている。

こうしたモズレー会長率いるFIAの姿勢には多くの批判が噴出しているが、前述したようにF1の歴史はレギュレーション変更の歴史。ルイス・ハミルトン選手(マクラーレン)は「新しいルールやレギュレーションが導入される度にチームは速くなってきた」(TopNewsより)と語っている。これらの変更が、F1界の前進につながることを期待したい。

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