水ダイエットにご注意、1日2.3リットル飲んだ女性が脳に後遺症。

2008/07/26 18:52 Written by コジマ

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夏本番を迎え、重要視されている水分摂取。外出する際はもちろんのこと、特に運動時は不可欠だ。かつて運動部などでは運動中の水飲みを厳禁する傾向にあったが、現在では脱水症状や熱中症を防ぐだけでなく、運動パフォーマンスを下げないためにもこまめな水分摂取が推奨されている。

その一方で、近年はダイエット方法の1つとしての水分摂取も注目を浴びている。1日1〜2リットルを目安に飲むと、基礎代謝が向上してやせやすい体になり、老廃物排泄や便秘解消、肌質改善、血液サラサラなど、多くの効果が期待できるのだとか。実践している国内外の有名人も少なくない。また、一部では血流量が増えて脳が活性化するともいわれている。

しかし、英国の女性が栄養士に勧められるままにこの水ダイエットに挑戦しところ、てんかんを引き起こし脳に後遺症を負うという事件が起きた。女性は記憶力や注意力、言語表現能力に障害持ったことから訴訟を起こし、7年間の裁判のすえに80万ポンド(約1700万円)の賠償金を勝ち取ったという。

これは新華社が伝えたもので、2001年に英オックスフォードに住む当時45歳の女性が、栄養士にダイエット方法の相談を持ちかけた。栄養士は1日2.3リットルの水を飲むようにアドバイスしたが、その際に付け加えたのが塩分の摂取量を減らすこと。女性はそのアドバイスを忠実に守ってダイエットに励んだが、次第に健康状態が悪化していった。てんかんを引き起こす1週間前に相談したが、栄養士はさらに1日に飲む水の量を3.4リットルまで増やすように指示。これにより女性はいわゆる水中毒となり、脳に重大な後遺症を負うことになってしまった。

ヒトの腎臓は1分間に16ミリリットルしか処理できないため、これを超えると低ナトリウム血症を引き起こす水中毒の状態となる。低ナトリウム血症は、血液中の塩分が足りなくなってしまうこと。昨年1月に米カリフォルニア州で開催された水の飲み比べ大会で、7.6リットルの水を飲み干した女性が翌日に死亡したが、これも水中毒による低ナトリウム血症が原因とされている。今回のケースでは一般的に水ダイエットで推奨されている量を超えていなかったが、塩分の摂取量を減らしたことにより水中毒となったようだ。

ダイエットや飲み比べ大会だけでなく、マラソン後に水を大量に飲んだ選手が死亡した例もあるそうで、水分摂取量の増える夏は特に注意をしたいところだ。ちなみに、スポーツドリンクには塩分が含まれているが濃度が低過ぎるため、脱水症状を起こした際に大量に飲むと低ナトリウム血症を引き起こすことがあるのだとか。

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