米国で草野球が衰退、各スポーツ人口増加の中で毎年1%減少。

2008/07/23 17:57 Written by コジマ

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日本や米国ではメジャースポーツの野球だが、世界的に見ると競技人口それほど多くない。こうした点から、2012年のロンドン五輪では実施競技から外されることが決定しており、また、日本でもスポーツや余暇の過ごし方の多様化によって、野球の人気はかつてよりも低下傾向にあることが指摘されている。

そんな中、野球の本場である米国で、子供の草野球が衰退していることをAP通信が伝えた。夏休みに入った現在も、草野球を楽しむ子供の姿は昔ほど見られなくなったという。

笹川スポーツ財団が06年に発表した資料によると、日本の野球人口はサッカーを下回っており、特に10代の実施率低下が著しい。それは米国も同じ状況で、CNNでは現在も220万人以上の子供が野球を楽しんでいるものの、96年をピークに競技人口は毎年1%ずつ減少していると伝えた。一方で、南米系の移民が増加している近年はサッカー人気が上昇し、02年までの15年間で約1500万人から1750万人以上に増加したのだとか。

AP通信は草野球衰退の原因としてテレビゲームの普及や防犯意識の高まりなどを挙げているが、CNNではサッカーだけでなく、アメリカンフットボールの競技人口は13万人から26万人と2倍になったのをはじめ、ここ10〜20年間でほとんどのスポーツの競技人口が増加したことを報じている。

サッカーなどに比べて専用の用具が多数必要な野球は、世界的に見ると手軽なスポーツとは言い難い。その点が普及を妨げている要因の1つとして挙げられるが、米ラクロス協会の広報担当者は、他のスポーツは少年野球と違って「リトルリーグペアレンツ」がいないことを指摘している。つまり、他の競技は子供の野球を観戦しながら口を挟む親が少なく、子供がのびのびとプレーできるというのだ。

また、米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースのジョニー・デーモン外野手は、AP通信に対して「1年中、遊びではない野球をしているため、高校に入るころには飽きてしまうのではないか」(産経新聞より)とコメントした。

こうした状況を踏まえ、日本でも米国でも野球の人気と競技人口の復活を目指してさまざまな活動が展開されているが、米ミシガン州立大のダン・グルード教授(スポーツ心理学)は「われわれが子供に望んでも、草野球はもう戻ってはこない」(産経新聞より)と悲観的な見解を示している。

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