日本人大リーガーのパイオニア野茂英雄投手引退、米各紙は報じず。

2008/07/17 23:59 Written by コジマ

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今季、トレイ・ヒルマン監督率いる米大リーグのカンザスシティ・ロイヤルズとマイナー契約し、4月11日のニューヨーク・ヤンキース戦で1000日ぶりとなるメジャー登板を果たした野茂英雄投手。しかし、日本だけでなくメジャーも席巻したかつての勢いはなく、3試合に登板し4回1/3で被安打10、被本塁打3、奪三振3、自責点9、防御率18.69。思うような結果が残せず、同20日に戦力外通告を受けてしまったのだ。

その後は獲得に乗り出す球団もなかったが、7月17日に現役引退すること自身の公式サイトで発表した。同サイトには「現役を引退すること表明いたしました」と記してあるだけだが、共同通信によると「自分の中ではやりたいが、プロ野球選手としてお客さんに見せるパフォーマンスは出せないと思うし、同じように思っている球団も多いと思う」と語ったという。

野茂投手は1995年、プロ野球での4年連続となる最多勝利・最多奪三振の記録を引っさげ、村上雅則氏以来31年ぶりに大リーグへ移籍。キレのあるストレートと2種類のフォークボールは大リーガーも圧倒し、ロサンゼルス・ドジャースに所属した1年目でオールスター戦に出場したほか、新人王と最多奪三振のタイトルを獲得した。

その後は計7球団を渡り歩いたが、ドジャース時代の96年とボストン・レッドソックス時代の01年にノーヒットノーランを達成。両リーグでの記録は、ノーラン・ライアン投手以来、史上4人目の快挙だった。また、96年の球場クアーズ・フィールドは高地のため打球が飛びやすく「打者天国」と呼ばれており、この地でのノーヒットノーランは現在も史上唯一となっている。

こうして日本人選手が大リーグへ移籍するパイオニアとして日米両国で認められている野茂投手の引退、日本では多くのメディアが報じているが、米メディアは大リーグ公式サイトやスポーツ専門局ESPNをはじめ、ドジャースの地元紙ロサンゼルス・タイムズなどでも一切報じていない。近年、米メディアで日本人選手の特集が組まれるたびに冒頭で名前を挙げられていたが、なんとも寂しいことだ。

今季は桑田真澄投手やドジャース時代の女房役だったマイク・ピアザ捕手も引退を表明していることから、一時代の終わりを感じている人も多い模様。ただ、メジャーでは多くの「高齢」選手が活躍しているため、野茂投手は「引退する時に悔いのない野球人生だったという人もいるが、僕の場合は悔いが残る。自分の中ではまだまだやりたい気持ちが強いが、自分の気持ちだけで中途半端にしていても周りに迷惑をかけるだけだと思った」(共同通信より)と悔しさをにじませている。

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