人気マンガ「軍鶏」の休載理由が明らかに、著作権めぐり訴訟問題。

2008/06/28 22:15 Written by コジマ

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「イブニング」(講談社)に連載され、単行本が累計約530万部発行されている人気マンガ「軍鶏」(橋本以蔵原作、たなか亜希夫画)。優等生だった男子高校生が両親を殺害し、少年院で空手を習ったことをきっかけに格闘技の世界へ身を投じていくというストーリーで、当初は「漫画アクション」(双葉社)で連載を開始したが、同誌休刊(現在は復刊)のため2004年に「イブニング」へ移籍した。

この移籍に伴って、単行本の装丁が変更されたことや「漫画アクション」連載時に描かれていた「中国編」がなかったことになっている点が賛否を呼んでいるが、キャラクターのフィギュアが発売されたり、香港映画俳優のショーン・ユーや格闘家の魔裟斗が出演して映画化(現在公開中)されたりなど、移籍後の人気も相変わらずだ。

ところが、今年1月から「イブニング」での休載が続いている。作画を担当しているたなか亜希夫氏のブログでは、主人公のフィギュアの写真を掲載して「久し振りだな、みんな。ナルシマ リョウだ。しばらく姿を見せてなかったが別に死んだわけじゃねぇ。ちょっとワケありでな。必ず戻って来るからな、待っとけよ。誰もオレを殺せやしねえ」とつづっていたが、理由が明らかにされないためファンの間では「謎の休載」とされていた。

こうした中で、たなか氏が述べている「ワケあり」の内容が明らかになった。たなか氏が原作者の橋本以蔵氏を相手取り、著作権をめぐって訴訟を起こしていたのだ。たなか氏は「橋本さんは連載当初に大ざっぱなあらすじが書かれた原稿しか出しておらず、ストーリーやキャラクター設定、せりふなどすべて自分が行った」「軍鶏は自分が単独で創作した作品」(産経新聞より)としており、著作権が自分にあることの確認とともに、単行本の著作権料約1億5000万円の支払いを求めているという。

漫画界の訴訟というと、1997年に起きた「キャンディ・キャンディ」(水木杏子原作、いがらしゆみこ画)のものが有名だが、絶版となった「MASTERキートン」(勝鹿北星原作、浦沢直樹画)のようにトラブルが発生しても訴訟までには至らないケースが大半なのだとか。産経新聞にも、漫画コラムニストである夏目房之介氏の「漫画界には契約書を交わす慣習が少なく、原作者と漫画家の仕事の分担もあいまい。それでも著作権料は折半が多く、漫画家が怒るのも無理はないかも。しかし、漫画家はおとなしい人が多く、裁判沙汰(さた)になるというのはよほどのことだ」というコメントが紹介されている。

今回の訴訟ではすでに第1回口頭弁論が開かれており、橋本氏は争う姿勢を示したという。「キャンディ・キャンディ」の著作権裁判では原作者側が訴訟を起こして勝訴しているが、「軍鶏」をめぐる裁判ではどちらの主張が認められるのだろうか。いずれにせよ、早期の連載再開を期待したいところだ。

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