マンガのような「両投げ投手vs.スイッチヒッター」、米で話題に。

2008/06/25 14:32 Written by Narinari.com編集部

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野球の世界において、左右どちらの打席でも打てる打者(スイッチヒッター)はそう珍しい存在ではないが、左右どちらでも投げられる投手(スイッチピッチャー)は極めて稀。試合中に左右をチェンジできれば、対峙する打者によって継投を必要とする機会が減り、また、投手にとって消耗品である肩を倍使えるため、選手生命を伸ばすことに繋がるかもしれない。そんな良いことずくめのように思えるスイッチピッチャーなのだが、現実的には「左右どちらも一級品」というケースはほとんどなく、マンガの世界だけの存在だと捉えられがちだ。

でも、6月19日に行われたヤンキース傘下の1Aスタッテンアイランドヤンキースの試合で、スイッチピッチャーのパット・ベンディット投手が、記念すべき初登板を迎えた。記録上、メジャー史上ではスイッチピッチャーは4人しかいない。そのうち3人は19世紀(※メジャーリーグの創設は1876年)の選手で、この100年に限ると1995年9月28日、当時エクスポズのグレッグ・ハリス投手が1試合だけ登板した例のみ。マイナーリーグの試合ではあるが、ベンディット投手の初登板は、まさに「歴史的な瞬間」だったと言える。

この試合、ベンディット投手が9回にマウンドに上がると、そこでいきなりドラマが待ち受けていた。対峙したのはなんとスイッチヒッター。「スイッチピッチャーvs.スイッチヒッター」という、恐らくほとんどの野球ファンが目にしたことがない対決が現実のモノとなったのだ。しかもこの対決、ベンディット投手が左で投げようとすると打者は右打席に、右で投げようとすると左打席にといった具合に、長時間に渡って駆け引きが繰り広げられ、最終的には審判が「右vs.右」を指示するという異例の展開に。結局、ベンディット投手が三振に打ち取って勝負に決着が付いたのだが、滅多に見られないこの駆け引きは全米の注目を集めることになった。

ちなみに、日本におけるスイッチピッチャーは、1988年から1991年まで、南海、ダイエー、阪神でプレーした近田豊年投手ただ一人。近田投手は左投げだとオーバースロー、右投げだとアンダースローという極めて変則的な投手だったのだが、残念なことに、通算1試合に登板、0勝0敗0セーブという成績が示すとおり、近田投手が1軍で登板したのは1試合のみで、この試合では左右両投げを披露することはなかった。以降、スイッチピッチャーは現れていない。

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