卒業記念のダンス・パーティにやっと出席、元兵士の男性が喜び語る。

2008/06/09 14:00 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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アメリカの高校生活で最大のイベントといえば「プロム」。卒業間近の生徒が参加するダンス・パーティのことなんですが、これに対する彼らの意気込みは半端じゃありません。

プロムはカップルで参加が原則なので、まずはパートナー選びから始まり、ドレスに数百ドルを費やし(中には数千ドルというレベルも……)、会場にはリムジンを手配したりします。可愛い子供の卒業記念にと、かなりの出費をする親が多いんですねぇ。

で、そのプロムに先日出席したのが、ケネス・スミスさん。彼自身も一張羅のタキシードに身を包み、リムジンでプロムに出向いた男性です。もちろん傍らには美しいパートナーをしたがえて……。

そして会場に到着した彼を待っていたのは、他の出席者の暖かい出迎え。拍手喝采で迎えられたスミスさんは、それはそれは感無量だったことでしょう。しかし、なんで彼だけこんな特別扱いを受けたのでしょうか?

実はスミスさん、今年で84歳になるのです。どうしてそんなご年配の男性が高校生のプロムに出ることになったのかというと、彼は若いころ高校卒業を待たずに、兵士として出兵せねばならず(時は第二次世界大戦の真っ只中)、戦後ふるさとに戻った後も、卒業証書を受け取ることはありませんでした。

そのことを知った彼の友人が、今でも遅くはないとスミスさんの母校にかけあい、学校側も彼に対して「名誉卒業証書」を授与することに決定。そして晴れて「卒業」が決まったことを祝って、今回のプロム出席とあいなったのです。

スミスさんは、

「今回私がプロムに出席したことは、自分のためだけじゃありません。戦地で戦死してダンス・パーティに出席することが出来なかった、他の学生兵士のためでもあるのです」

と今回のことを喜びつつも、若くして尊い命を失った同胞たちに思いをよせるのでした

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