近年、大人の趣味も広がりを見せ、おもちゃや音楽、スポーツなどかつて遊んだものやできなかったものに挑戦する人が増えている。こうした中でラジコンの人気も高まっており、京商が表参道ヒルズにオープンした「ラジコンバー」は連日、サーキットでの走行を楽しむ大人で賑わっているという。
こうした中で、「本物の車でラジコンができたら」という子供の頃に誰もが一度は抱く夢を、英クランフィールド大のジェームス・ブライトン教授らが実現し、話題となっている。
ブライトン教授らがラジコンに改造したのは、米ゼネラルモーターズのSUV「ハマーH3」。威圧感のある雰囲気が日本でも人気の「ハマーH2」よりは一回り小さいものの、それでも幅2メートル弱、長さ4.7メートルと大型で、価格も600万円ほどする高級車だ。
ブライトン教授は、同じ大学のキム・ブラックバーン博士やテレンス・リチャーズ博士とともに設計に数年、製作に1カ月をかけてこの「大人のおもちゃ」を完成させた。後部に2台の専用コンピューターを搭載することで、人が運転するのと同じくアクセル、ブレーキ、ステアリング、ギアが操作でき、40.7センチの段差や40度の傾斜、水深61センチなどの状況でも走行可能。送信機(プロポ)は通常のラジコンと同じタイプになっている。
もちろん、実験用に開発されたもので市販する予定はないが、「製作過程を大いに楽しんだ」というブライトン教授。ゼネラルモーターズも、この試みについて「私たちは年を取ったために遊ばなくなったのではなく、遊ぶことをやめたために年を取る」というタイトルで好意的に発表しているという。