2004年の落合博満監督就任以来、1位、2位、1位、2位とペナントレースで毎年優勝争いを繰り広げている中日。昨季はセ・リーグ初導入のプレーオフと日本シリーズを制して、53年ぶりに日本一の栄冠を手にした。今季は交流戦突入後、3勝5敗と苦戦中で首位阪神との差は開いてきているが、それでも2位をがっちりキープしている。
昨季までのリーグ優勝回数7回のうち2回は落合監督就任後で、これだけでもいかに「常勝軍団」へと成長したかが分かるのだが、チームの打率や防御率などを見ると、毎年突出しているわけではない。では、なぜ強いのか。その「不思議な強さ」の秘密を、5月28日発売のプロ野球専門誌「週刊ベースボール・タイムズ」がさまざまな角度から分析している。その結果、低打率で高得点、エース川上憲伸投手が日曜日に先発しないなど、数々の「謎」の理由が明らかになったという。
中日のチーム打率は、リーグ優勝した06年を除いて04年5位、05年4位、07年5位と低迷しているが、チーム得点は毎年上位に位置している。今季も5月29日現在で.255と下から2番目の成績なものの、得点数は巨人、阪神に次いで3位につけているのだ。同誌はその理由として、毎年リーグ上位となっている四死球数と効率的な走塁を挙げている。ボールゾーンに手を出す率が低く、「単打で走者が2つ以上の塁を奪う確率」も4年連続でリーグトップだという。
また、投手力でも細かいデータに着目し、「味方が得点した直後に失点する確率」の低さや「5人以上登板した試合の勝率」の高さなどのほか、失点を未然に防ぐベンチワークの巧みさを挙げた。また、失点率の低さは04年以降の合計守備率がリーグトップであることも関係しているようだ。
このほか、昨季以降、川上投手が日曜日に先発しない(昨季1試合のみ)理由として、3連戦の最後にエースを登板させることによって3連敗を防いでいると分析。事実、昨季は3連戦3連敗は2回しかなく、同誌は「違うタイプの投手で2試合を戦い、エースで締める。この先発ローテーションは、ドラゴンズの強さを支える1つの戦略と考えられる」としている。
この分析の結果、いまの中日はリーグ優勝8回、日本一6回という偉業を遂げた森祇晶監督時代の西武を手本としているのではないかという。それは、当時の西武を知る辻発彦、森繁和、小林聖始、奈良原浩、苫篠誠治の各氏を首脳陣に迎えていることからも分かるとした。落合監督の勝率は、昨季までで.5737。西武、横浜の監督を歴任した森祇晶氏(.5738)とすでに並んでいる。