ケンタッキーフライドチキンといえば、主力商品はもちろんオリジナルチキン。特製の圧力釜で揚げた柔らかくてジューシーな鶏肉と、ほかの飲食店や家庭ではマネできない独特の味わいは、1970年の日本上陸以来、40年近くに渡って日本人の味覚を虜にしてきた。そしてオリジナルチキンに加え、レギュラーメニューには「カーネルクリスピー(骨なし)」や「ナゲット」などのチキンメニューが名を連ね、また、期間限定メニューとして「レッドホットチキン」や「胡山醤(ござんしょ)チキン」などのアレンジチキンがいくつも登場するなど、ケンタッキーのメニューの構成は当然のことながらチキンが中心だ。
そんなケンタッキーのメニューの中にあって、長年に渡って異彩を放ってきたメニューが「フライドフィッシュ」だ。北太平洋で水揚げされたタラを使用した細長い二等辺三角形型の白身魚のフライ「フライドフィッシュ」は、チキンだけでは飽きてしまいそうなときや、イギリスの伝統料理「フィッシュ&チップス」の気分を気軽に楽しみたいときなどに重宝する存在で、熱狂的に支持するファンも少なくない。
ところが、この「フライドフィッシュ」。残念なことにひっそりとメニューから姿を消してしまった。店頭で店員に確認すると「全店舗で販売を終了しました」との説明。そこでケンタッキーに直接電話で確認をしたところ、4月24日に行われたメニュー改定の際に、販売をやめてしまったそうだ。「全店舗で販売終了」については少し異なるようで、基本的には販売をやめているものの、一部ではまだ販売を継続している店舗もあり、キャンペーンのような形で販売しているところもあるようなのだが、どの店舗で販売しているのかはまだ把握できていない(教えられない)という。
また、過去にも2003年頃に「フライドフィッシュ」がメニューから消えたあと復活を遂げた経緯があるため、今回も復活の可能性があるのかを聞いてみたところ、現時点では「何とも言えない」との回答だった。ひょっとすると、「フライドフィッシュ」ファンが熱い陳情を続ければ、期間限定メニューなどの形で復活する余地はあるのかもしれない。
いつもカウンターの奥にある保温ケースの片隅にひっそりと少量だけたたずんでおり、タイミングが悪いと「10分ほどお待ちいただけますか?」と、注文してから揚げ始めるというシーンにもしばしば出くわしていたことから、恐らくは「それほど売れないメニュー」だったのだろう。ニッチなニーズに応えるメニュー。「フライドフィッシュ」のポジションはそんなところだったはずだ。極論を言ってしまえば、いつ消えてもおかしくないメニューだったとも言える。
ちなみに、ネットでは「フライドフィッシュ」の販売終了を知ったファンの、途方に暮れた声をチラホラと見ることができる。「(フライドフィッシュは)おなくなりに…(ノД`)」「フライドフィッシュが食いたいんだよぅ」「タルタルソース付いてるフライドフィッシュが一番好きだから来てたんだよっ!!」。数は多くはないが、その「フライドフィッシュ」への思いは一様に熱い。果たして、再び「フライドフィッシュ」が表舞台に登場する日は来るのだろうか。