ネット上の架空人物を偽り少女を自殺に追いやった女性、逮捕へ。

2008/05/16 13:50 Written by Maki K Wall@駐米特派員

このエントリーをはてなブックマークに追加


ここまで来るのに本当に長かったなぁ、というのが今回の報道に対する感想。

ミズーリ州、セントルイス郊外にあるとある小さな町で、痛ましい事件が起こったのが2006年の10月のこと。メガン・マイヤーさんというたった13歳の少女が自ら命を絶ってしまったのです。理由は、オンラインで交流していた男の子から、突然絶好を突きつけられ、そのショックから。その彼とはソーシャル・ネットワークの MySpace で知り合い、数週間にわたり、何度もメールのやり取りをしていたそうです。ところが、

「お前なんかいない方が、世の中のためだ」

という、酷い言葉で別れを告げられた彼女。13歳の心が傷付くには、十分だったのでしょう。

しかし彼女の死から数か月後、今度は衝撃的な事実が判明します。この MySpace の男の子、実は架空の人物だったのです。そして彼になりすましていた人物は、メガンさんの近所に住む、知人の女性でした。

ローリー・ドリューというこの人物は、自分の娘とメガンさんが仲違いしてしまったことを知り、直後から

「メガンさんが自分の娘の悪口をいっているのでは?」

と疑って、MySpace で彼女を監視することにしたのです。そして知人や家族を引き込み、「ジョッシュ」というフロリダに住む少年のプロフィールを作り上げ、メガンさんに接近。メールのやり取りで親しいふりをし、しばらくした後、先のような冷たいメールを送りつけたのでした。

さて、この事実を知った地元警察では、ドリュー容疑者に対する法的手段はないものか、と調査を進めていたのですが、なにしろ「インターネット上のいじめ行為が原因で、自殺に追い込んだ」という前例のないケースなため、らちが明かなかったそう。当初は彼女を法律上に罰することは不可能だともいわれていました。

しかしその後FBIが捜査に加わり、事件の管轄を MySpace の本社があるカルフォルニアにまで延長。このたび、ドリュー容疑者に対する陰謀罪、そしてコンピュータを使った不正な情報収集など、4つの罪状が決定。ようやく逮捕につながったそうです。1年半以上かかって、やっとここまで。メガンさんの家族の無念もこれで少しは癒されるといいのですが……。

ただ、ドリュー容疑者が裁判で有罪になった場合、最高でもたった5年の実刑判決だとか。少なすぎる気もしますね。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.