J1千葉が海外から大型補強する動きを見せて話題となっているが、今年2月にはF東京が「10億円補強」を掲げ、元チェコ代表MFパベル・ネドベド選手(ユベントス)の獲得に動いていることが報じられ、サッカーファンから注目を浴びた。このニュースを日刊スポーツが伝えた時点では関係者を通じて下交渉をしている段階で、欧州の移籍市場が動き始める夏にも正式オファーをするとしていたのだ。
さらに5月に入って、磐田の馬淵喜勇社長がネドベド選手側から移籍の話を持ちかけられ、今年3月に接触していたことを明かした。同社長は引き続き交渉を行うにあたって「今後はウチがイニシアチブを握りたい」(スポーツニッポンより)と強気の姿勢を見せていたことから、移籍が夢物語ではないことを感じた人も多かったのではないだろうか。
F東京にせよ磐田にせよ、2005年の欧州最優秀選手(バロンドール)に輝いたネドベド選手の移籍は、チーム戦力の増強だけでなくJリーグ全体の集客増にもつながる話。実際、ネットなどでも「ネドベドが来るならJリーグを観にいきたい」とする意見が多数見られた。
ところが5月14日、ユベントスが契約を1年延長したと発表した。Jリーグ移籍への道は閉ざされてしまったのだ。
今年で36歳になるネドベド選手は、今年6月の契約満了を機に引退することを公言していたが、ユベントスはレギュラーを死守する実力とともに、06年の「カルチョ・スキャンダル」によってチーム史上初の2部リーグ(セリエB)降格した時も支え続け、チームのシンボル的存在となっていることを高く評価し、契約延長を打診。引退するならコーチのイスも用意するという好待遇で説得を続けていた。
一方、ネドベド選手は残留の条件として来季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)への出場を挙げていたようだが、ユベントスはイタリア1部リーグで最終節を残して3位が確定し、3シーズンぶりとなる欧州CL出場も決定している。
こうした苦労が実を結び、契約延長にこぎつけたユベントスのジャン・クロード・ブランCEO兼GMは「ネドベドの契約延長はチーム強化のための最善のものとなった。彼はユベントスになくてはならない存在であり、チームに個性や特色を加えてくれる」(AFPより)とその喜びを語った。
Jリーグ移籍がかなわなかったのは残念だが、来季もネドベド選手の活躍が堪能できることになったのは、サッカーファンにとって喜ばしいニュースではないだろうか。ちなみに、チェコ代表主将のトマシュ・ロシツキー選手(アーセナル)が負傷したことにより、チェコ国内ではネドベド選手の代表復帰が期待されている。今季は欧州選手権(EURO)でもその雄姿を拝めるかもしれない。