開幕まで3カ月を切った北京五輪。5月12日には中国四川省で大規模な地震が起き、同じユーラシアプレート上にある北京でも同規模の地震が起きる可能性を指摘する声も上がっている。北京五輪組織委員会は自然災害面での安全性を強調しているが、五輪開催期間中に50万人以上の外国人が訪れるとみられており、大都市であることからも、大地震が起きればその被害は四川省以上のものとなりそうだ。
こうして五輪開催に沸く中国を落ち込ませた四川大地震だが、またもや中国の人々を落胆させるニュースが報じられた。「国宝級」ともいわれる実力と美貌で国民的アイドルとなっている飛び込み五輪代表候補、郭晶晶(グオ・チンチン)選手の妊娠が発覚し、五輪強化チームから離脱することになったのだ。
中国では五輪種目の中でも卓球と並んで飛び込みの注目度が高く、そのスター選手である郭選手の人気は、2月に北京で行われたワールドカップ(W杯)で女子決勝のチケットが完売し、急遽販売枚数を1000枚増やしたほど。アテネ五輪の2種目で金メダルを獲得した実力はもちろんのこと、「清潔な美貌」で東芝やコカ・コーラといった外資系企業、化粧品会社のCMモデルに起用されている。
しかし郭選手は、中国スポーツ長者番付で米バスケットボール協会(NBA)の姚明(ヤオ・ミン)選手(ヒューストン・ロケッツ)を抑えてトップに立つほどの商業的活動が批判の対象となっており、W杯後の会見ではライバルのブライス・ハートリー選手(カナダ)を指して「カナダのデブ」と発言したことが問題となるなど、今年に入ってからもメディアを賑わせている。この問題発言を受けて「中国のエリカ様」と各ブログで紹介され、「goo」の検索ワード急上昇ランキングで48位を記録するなど、日本での知名度も少なからず高まったのだ。
また、郭選手はかねてから香港の資産家である霍啓剛氏との交際が報じられており、5月に入ってからは「愛するあなた、私を寂しがらせないで」「だい、だい、だい、大好き! 愛している」(中国情報局より)という熱愛携帯メールがネット上に流出。シンガポールのメディアからは妊娠説が浮上していた。今回の報道はこれを裏付けるもので、人民日報の電子版「人民網」は、定期健診で妊娠が発覚し、国家体育総局水上運動センターの関係者が緊急会議を開いて強化選手からの離脱を認めたと伝えている。
人民日報の信頼性は低く、国内でも「題名と日付しかあっていない」とされているが、同紙には霍啓剛氏の父で香港五輪委員会の主席を務める霍震霆氏の「子供たちの選択を尊重したい」(レコードチャイナより)とのコメントも掲載していることから、妊娠や強化チームの離脱は間違いないようだ。
金メダルが確実視されていた郭選手の不出場は中国飛び込みチームにとって大きな痛手。中国のメディアも騒然としている。今回のようなことが日本で起きれば、大変な事態になりそうだ。