「光市事件の死者1.5人」発言の青学大准教授、謝罪報道に反論。

2008/04/27 23:53 Written by コジマ

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広島高裁での差し戻し審で、1審の求刑どおり死刑判決が下された山口県光市の母子殺害事件。被告の弁護団が即日上告したためまだ法廷での争いは終結したわけではないが、死刑の是非から弁護団のあり方まで、メディアだけでなく一般でもさまざまな議論が交わされている。

こうした中で、犯行当時未成年だった被告に対して死刑を科すのは重過ぎるとして、ブログで持論を展開した青山学院大国際政治経済学部の瀬尾佳美准教授(環境経済学)に対してネットから批判が殺到するという騒動が起きた。

同准教授は、昨年9月21日に同事件について記したエントリーに追記する形で、4月23日に「私は死刑廃止論者ではない」と断りつつ少年に対する死刑の反対を訴え、「光市の事件に関しては死刑は重すぎるように思えてならない」「最低でも永山基準くらいをラインにしてほしいものだ」と、1968年に未成年で4人を殺害し、死刑判決が下された永山則夫連続射殺事件を引き合いに出した。

その際に「永山事件の死者は4人。対してこの事件は1.5人だ(まったくの個人的意見だが赤ん坊はちょっとしたことですぐ死んでしまうので、傷害致死の可能性は捨てきれないと思っている)」「一審、二審の判断(無期懲役)は、相場から言えば妥当なところではなかったろうか」などと記したことからネットを中心に批判が相次ぎ、ブログの「炎上」はもちろんのこと、大学へ抗議の電話やメールが殺到。また、瀬尾准教授は過去のエントリーでも、スピード違反をしたこと、拉致被害者家族や新潟県中越沖地震被害者への中傷とも取れる批判など、“問題発言”を繰り返していた。

これを受けて青学大の伊藤定良学長は、4月25日に「当該教員の記述は適切でなく、また関係者のみなさまに多大なご迷惑をおかけしたことはまことに遺憾であり、ここに深くお詫び申し上げます。今後このようなことが繰り返されることのないよう努めてまいります」という謝罪文を大学のホームページに謝罪文を掲載し、瀬尾准教授も同日、自身のブログで「このサイトに対し、沢山のご批判を頂きました。頂いたご意見をきっかけに、改めて自分のブログを読み直しましたが、確かに多くの方たちの心を傷つけるような記述があり、深く反省しております。今回わたくしの発言によって傷ついた方たちに心からお詫び申し上げる次第です」と謝罪している。

この騒動は各メディアで報じられ、毎日新聞も26日付の夕刊で伝えた。同紙は「同大の伊藤定良学長は25日、准教授に口頭注意」としていたのだが、この記事に対して瀬尾准教授は、別のブログで「よくこんなものを書くと思います。私は25日には学長にはお目にかかっておりません。それどころか私は今のところ学長と面識がないです。この日は一日授業があり、授業後はゼミ生と夏合宿の打ち合わせをして帰宅しています。もちろん注意をうけた事実もないです」と反論。「もし私が学長にお目にかかっておれば、当然ご説明をしたはずですので、このような発言を学長がなさるはずがない。新聞ってこんななのでしょうか」と記した。

これに対して、ネットでは再び批判が殺到。「この准教授、沈静化させる気が全く無いだろ」「誤解されるような書き方したと言うならその事をまず謝罪すればいいのに」といった声のほか、同准教授が柳沢伯夫前厚生労働相の「産む機械」発言について記した過去のエントリー「首相は『発言は不適切』などと言っていたが、発言が不適切なのはあんたがあらためて指摘するまでもない。問題は、柳沢発言が不適切かどうかではなく、不適切な人間を罷免しない安倍が一国の首相として適格かどうかということだ」を引用して暗に非難するコメントも見られる。そのため、同准教授はこの部分を削除し、こちらでも謝罪文を掲載した。

しかし、同エントリーの「書き方は悪かったと反省しておりますが、私は幼児を0.5と数えたわけではありません。むしろ幼児のほうが平均余命は長いので大きく数える流儀があるくらいです」「殺人ではなく傷害致死の可能性を指摘したかった」「私の意図と違う」という弁解の記述は残されている。元のブログにアクセス制限がかかっているため当該部分をここにコピーするとして、「まったくの個人的意見だが赤ん坊はちょっとしたことですぐ死んでしまうので『傷害致死』の可能性は捨てきれないと思っている。ひとつが傷害致死の場合『殺人』の数は1。殺意があったなら2。どちらと信じる理由もないのでここでは1.5としておく」という部分を“引用”しているが、元のブログでこの記述はどこにも見当たらないのだ。

新たなブログ(過去に活用していたものを復活させたもの)では「ブログ内の記事は筆者の個人的な考えにもとづくものであり、所属組織とは一切関係ありません」と断っているものの、大学准教授という社会的立場を考慮すると、この一文で責任は回避できないのではないだろうか。瀬尾准教授は、騒動を受けて元のブログで「ゼミ生に対する迷惑行為やゼミ板への悪戯等はやめて頂けないでしょうか。私の不徳にてご不快な思いをさせた方々には申し訳ありませんが、報復や私的制裁のターゲットはわたくし個人のはずです」としていたが、大学関係者や学生たちへの影響を考えるのならば、自身の発言を控えることが一番だと思うのだが……。

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