イチローとハンターどちらが必要? ファンの質問に番記者が回答。

2008/04/22 20:28 Written by コジマ

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近代野球史上初の8年連続200安打や日米通算3000安打などを目指し、米大リーグでの8年目のシーズンを過ごしているシアトル・マリナーズのイチロー外野手。しかし、オープン戦では自己ワーストとなる26打席連続無安打を記録した影響か、公式戦が開幕しても打率.259と、いまひとつ波に乗れていない。特に最近5試合では、22打数4安打と低迷しているのだ。

一方、イチロー選手と互いにライバルとして認め合っているロサンゼルス・エンゼルスのトリー・ハンター外野手は現在、打率.319、4本塁打、11打点と好調。打率は17位タイとなっている。

同じ中堅手で、ともに7年連続のゴールドグラブ賞に輝いていることから、何かと比較されるイチロー選手とハンター選手。今回はエンゼルスの公式サイトに「どちらがチームに欲しい?」というファンの質問が寄せられ、同球団の番記者であるライル・スペンサー氏が回答している。

今季序盤は上記のような成績なものの、昨季の成績や通算成績を比較してみると、

イチロー外野手
【2007年度】
打率.351 本塁打6本 打点68 出塁率.396 長打率.431 OPS.827 盗塁37
【通算】(2001〜07年)※MLBのみ
打率.333 本塁打67本 打点427 出塁率.379 長打率.437 OPS.816 盗塁272

トリー・ハンター外野手
【2007年度】
打率.287 本塁打28本 打点107 出塁率.334 長打率.505 OPS.839 盗塁18
【通算】(1997〜07年)
打率.271 本塁打192本 打点711 出塁率.324 長打率.469 OPS.793 盗塁126
※OPSは出塁率+長打率。

となっている。打率や盗塁ではイチロー選手のほうが上で、長打力ではハンター選手のほうが優れていることが分かるのだ。また、年俸ではイチロー選手が1710万2149ドル(約17億6360万円)、ハンター選手が1650万ドル(約17億150万円)と大きな差はない。しかし、イチロー選手は昨季、ゴールドグラブ賞に加えて優れた打者に贈られるシルバースラッガー賞を受賞したほか、昨年8月に発表されたア・リーグ各球団監督による評価で6部門1位、今年3月に発表された各球団のスカウト評価で5項目1位、3項目2位の最高評価を受けている。スカウト評価でハンター選手の名前が挙がっているのは、1項目だけだった。

こうしたデータを踏まえてスペンサー氏は、ファンの質問に「これはこのコーナーに寄せられた最難問の1つ」としたうえで、「熟考した結果、私はハンターを選びたい」と回答した。その理由は、ハンター選手が持つ長打力。同氏は「イチローは4つの能力にとどまっているが、ハンターは長打力を加えた“5ツール・プレーヤー”。一振りで試合の流れを変えられる」としているのだ。

また、今季加入のハンター選手に春季キャンプから密着している同氏は「この2カ月余りで、ハンターがなぜMLB全体から称賛されているのかが分かった」と語り、「イチローも独自のリーダーシップを持っているが、ハンターはチーム全体を上昇させるタイプだ。彼の影響は試合中はもちろん、フィールド外にも及んでいる」と絶賛。強力なリーダーシップでチームを5度のタイトルに導いた元バスケットボール(NBA)選手、マジック・ジョンソン氏を引き合いに出している。

02年オフに広島から移籍し、阪神の選手たちの意識を高めた金本知憲外野手の例を挙げるまでもなく、リーダーシップを持つ選手の加入はチーム力を向上させる要因となる。エンゼルスは昨季も地区優勝を遂げているが、ハンター選手の加入でより強固なものになっているのかもしれない。実際、今季も現時点でオークランド・アスレチックスと並びア・リーグ西地区首位に立っているのだ。また、長打力が重視される大リーグでは、イチロー選手の内野安打の多さはしばしば批判の対象となっている。

ただ、スペンサー氏はエンゼルスの番記者のため、ハンター選手に肩入れしている可能性は否めない。また、ハンター選手はメディアとの関係が良好で、イチロー外野手が辛らつな評価を受けるのに対して、批判されることが少ないともいう。日本のファンの間でも評価が分かれるところだが、いずれにせよ、今季は同リーグ同地区でしのぎを削る2人のライバル関係は、より大リーグを面白くしてくれそうだ。

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