温暖化防止で阪神・広島・巨人がトップ3、試合時間短縮のわけは?

2008/04/19 22:43 Written by コジマ

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デーゲーム、ナイターの差はあれど、プロ野球の試合で使われる電力は相当なもの。筑波大学の試算によると、試合時間1分間当たりの電力消費量は36.27キロワット時となっており、過去10年間の平均試合時間3時間18分に当てはめて計算すると7181キロワット時、平均的な世帯の1年半以上分となる電力量を1試合で消費していることになる。

こうしたことから日本野球機構(NPB)は今季、環境省が打ち出している地球温暖化防止活動「チーム・マイナス6%」と協力し、「NPB2008 Green Baseball Project」を実施している。目標は「試合時間のマイナス6%」、具体的には平均試合時間を約12分間短縮し、3時間6分にすることを目指しているのだ。これによって削減される二酸化炭素(CO2)排出量は年間209トンにも及ぶのだとか。

この活動の一環として、NPBの公式サイトでは専用ページを設け、プロ野球全体、リーグ別、球団別の平均試合時間を随時公表している。それによると、4月18日現在の全体平均試合時間は3時間5分。目標値以上の成果が出ているのだ。リーグ別ではセ・リーグが3時間4分、パ・リーグが3時間5分で、3時間を切っている阪神(2時間56分)と日本ハム(2時間59分)が各リーグのトップ。セ・リーグでは続く広島(約3時間2分)、巨人(約3時間2分)、中日(約3時間2分)も目標値をクリアしており、逆にヤクルト(3時間11分)と横浜(3時間13分)は下回っているものの、過去10年間平均時間よりは短縮している。

この結果について、夕刊フジがセ・リーグの環境“Aクラス”入り3チームの理由を分析しているのだ。12球団トップとなっている阪神の試合時間短縮の理由は、「圧倒的に安定した投手陣」とした。4月18日現在で、阪神のチーム打率はリーグ4位、同本塁打数に至っては12球団でダントツの最下位と低迷しているものの、防御率は中日に次いで12球団2位の2.04。失点はリーグトップの36と少ないだけでなく、得点もリーグ2位であることから、効率のよい試合展開をしていると言えるのではないだろうか。広島については、防御率リーグ3位(3.25)の投手力に加え、走者をあまり出さないことを要因に挙げている。

ところが、広島とほぼ同時間で並ぶ巨人は、防御率がリーグ4位の4.11。被安打数と与四死球数に至ってはリーグ最下位となっている。これについて、同紙は「貧打なうえにボールが待てない淡泊な打撃陣」が試合時間を短縮させているとした。たしかにリーグトップのチーム本塁打数21本に対し、チーム打率は同最下位の.225。チーム得点も横浜と並ぶ56点で同4位タイとなっているのだ。これは、パ・リーグで最下位ながら、平均試合時間は日本ハムに次いで2位(3時間)のオリックスにも当てはまることかも。

ヤクルトはチーム防御率4.40とリーグ5位なうえに、チーム得点が同1位のために試合が長引く傾向にある模様。こうした面からも、それぞれのチームの課題が見えてくるのは興味深いこと。ただ、エコでトップを目指すことが必ずしもペナントレース優勝に結びつかないという点は、なんとも悩ましいのだ。ちなみに、12球団で最も平均試合時間が長いのはソフトバンクの3時間16分で、こちらも過去10年間平均時間より短縮している。


◎2008年セ・パ公式戦 平均試合時間(4月18日現在)
【全体】
3時間5分
【リーグ別】
セ・リーグ 3時間4分
パ・リーグ 3時間5分
【球団別】
◇セ・リーグ
阪神 2時間56分 (1)
広島 3時間2分 (5)
巨人 3時間2分 (4)
中日 3時間2分 (2)
ヤクルト 3時間11分 (3)
横浜 3時間13分 (6)
◇パ・リーグ
日本ハム 2時間59分 (2)
オリックス 3時間 (6)
西武 3時間5分 (1)
楽天 3時間5分 (5)
ロッテ 3時間7分 (3)
ソフトバンク 3時間16分 (3)
※カッコ内の数字は4月18日現在でのリーグ順位

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