「リボンの騎士」41年ぶりリメイク、絵柄の大幅変更に酷評相次ぐ。

2008/03/04 23:54 Written by コジマ

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天使のいたずらで男女2つの心を持って生まれたサファイア姫の活躍を描く手塚治虫のマンガ「リボンの騎士」。日本のストーリー少女マンガ第1号として知られ、目に輝く星を描くという少女マンガの代名詞的表現法を初めて取り入れるなど、後の少女マンガ界に大きな影響を及ぼしている。「マンガの神様」が遺した金字塔的作品の1つなのだ。

その「リボンの騎士」が、41年ぶりにリメイクされることになった。掲載されるのは、1958〜59年に続編の「双子の騎士」などが連載されていた月刊マンガ誌「なかよし」(講談社)。同誌の人気マンガ家、花森ぴんくが作画を担当し、シナリオはフジテレビ系バラエティ番組「なるほど!ザ・ワールド」やTBS系ドラマ「花より男子」などの構成作家を務め、近年は「もやしもん」(フジテレビ系)やリメイク版「ヤッターマン」(日本テレビ系)などアニメ作品も手がけている高橋ナツコが担当。「サファイア リボンの騎士」というタイトルで、4月3日発売の同誌5月号から連載がスタートするのだ。

「リボンの騎士」は53〜56年に「少女クラブ」(講談社)で連載され、「なかよし」では前述の「双子の騎士」のほかに63〜66年に連載。67年には北野英明作画で「少女フレンド」(講談社)に連載されるなど、これまでに3度リメイクされている。設定は手塚治虫自身がファンだった宝塚歌劇団、色彩や画面構成は同歌劇団によって舞台化された映画「ホフマン物語」(52年公開)の影響を受けているのだとか。また、06年には同歌劇団とモーニング娘。のコラボレーションよりミュージカル化されているのだ。

41年ぶり4度目のリメイクで作画を担当する花森ぴんくは「ぴちぴちピッチ」(シナリオ: 横手美智子)などで知られ、「なかよし」の人気投票では常に1、2位にランクされている同誌の代表的マンガ家。最新作「フィアンセはモンスター!?」が同誌2月号で連載を終了したことを受けて「サファイア リボンの騎士」を手がけることになったのだけど、この絵柄が原作と大幅に違うことから、ネットでは「笑いと同時に憤りを禁じえない」「こりゃ何の同人誌だ!?」など酷評が相次いでいるのだ。

手塚作品のリメイクと言えば、「鉄腕アトム」の1エピソードを描いている浦沢直樹の「PLUTO」(「ビッグコミックオリジナル」で連載中)が話題になったけど、浦沢直樹が手塚治虫を心から尊敬していること、手塚治虫の息子である手塚眞(監修)が浦沢作品として描いてほしいと要望したことなどから、大幅に絵柄を変更してもほとんど批判されていない。また、「PLUTO」は“浦沢キャラ”になっているものの、原作の特徴は残しているのだ。

しかし、今回の「サファイア リボンの騎士」が原型をとどめていないこと、デッサンが狂っていることなどが批判の対象となっている模様。毎日新聞に掲載されている絵柄を見ると、たしかに剣(レイピア)の角度がおかしい。とはいえ、こうした意見は原作を知っている世代によるものが多く、「なかよし」の読者層には単に「新しいマンガ」として受け入れられるのかも。

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