「機動戦士ガンダム」の主人公アムロ・レイのコスプレで、名シーンや名ゼリフを織り交ぜたネタで人気の「ガンダム芸人」こと若井おさむ。当初は数いる物まね芸人の一人と見られていたものの、世のガンダムブームに後押しされる形で、すっかり独自のポジションを築き上げている。そんな若井おさむが初のネタ本「生きのびろ!若井おさむの機動戦士ガンダム名言集」を双葉社から発売した。価格は1,260円。
「生きのびろ!若井おさむの機動戦士ガンダム名言集」はガンダムを熟知する若井おさむが自らチョイスした珠玉の名言集。アムロのほかに、シャアやブライト、セイラなど、おなじみの登場人物が残した印象的な名言たちを250本収録した。シャア役の声優である池田秀一との特別対談も収録されている。
若井おさむは「ポッと出のお笑い芸人」「一発屋」と見られることも多いが、ネットでは生い立ちやお笑い芸人を志すまでの生き様に共感する人が多い。心の底から頑張って欲しいとエールを送られ、暖かく見守られているという希有なお笑い芸人だ。そのあたりの事情はWikipediaの「若井おさむ」の項目に詳しいが、どのようなエピソードを秘めたお笑い芸人なのか、簡単に紹介しておこう。
・20代前半の頃、幼い頃から続く母からの虐待や、兄からの理不尽な暴力などに耐えかね、実家を離れて居酒屋の経営を始める。
・数年後、若井おさむが実家を離れたことから、母や兄が父を虐待。若井おさむは父に離婚を勧め、悩んだ末に離婚を決意したその日に亡くなった。
・父の遺産を放棄するとの念書を母に渡したところ、居酒屋は父名義だったため持っていかれてしまった。
・絶望した若井おさむは、死に場所を探すために東南アジアへ旅に出る。
・たまたま旅先で出会った日本人から「松本人志がドラマ(伝説の教師)をやっている」と聞かされ愕然(若井おさむはダウンタウンの大ファンで、ドラマをやるわけがないと思っていた)。
・自分の目で確かめるために一時帰国、たまたま見たのが「自殺はするな」というメッセージの回で、若井おさむは号泣、死ぬのを思いとどまり、お笑いの道に進むことを決意した。
このエピソードは若井おさむ本人がテレビや雑誌で語ったもの、もしくは若井おさむの芸人仲間が語ったもので、すべて実話だという。
そんな若井おさむ初のネタ本のタイトルに「生きのびろ」とあるのは、実に意味深い。若井おさむのバックボーンを知った上で「なぜ、この言葉がチョイスされているのか」を考えながら読み進めれば、「ガンダム名言集」がより深みを増していく……かもしれない。