ロンドンで多分、市民から一番嫌われている職業であろう「クランパー」。彼らは違法駐車を取り締まるために、警察から委託された民間の駐車違反摘発会社の職員であり、これまたロンドン市内で一番真面目に仕事をしているともいわれるほど、違法駐車の取り締まりに賢明なのです。
ロンドン市内はガレージ付きの家がとても少なく、家の前での路上駐車が基本。もちろんこのスペースにも駐車許可書を発行してもらわないと、合法的に車を止めることも出来ません。ところが、これを守らない人も多い(笑)。まあ、料金が高いってコトも理由なんですが、せっかく許可を手に入れても、止めるスペースが限られているので、やっぱり駐車出来ないというケースが続出。だったら払う意味はない、そう感じる人も多いでしょう。
なにはともあれ、結果として「クランパー」はいつも大繁盛になるワケで……。
ちなみに「クランパー」というのは、違法駐車した車が動けなくなるように、タイヤのひとつに金属製の金具(クランプ)を取り付ける人という意味です。車の持ち主は罰金を払わないと、このクランプを取り外してもらうことが出来ません。ちなみに強引に取り外そうとしても、絶対に無理です。
以前ロンドンに住んでいたウォール真木は、夜中にアパートの外で突然、
「ガリガリガリッ!」
という音が聞こえ、何事だと飛び起きたことがあります。こっそり窓の外を覗いて見ると、そこには車にクランプを取り付けられた持ち主が、ノコギリで金具を切り取ろうとしている必死な姿が……。無理だっつの(笑)。その後パトロール中の警察に見付かり、みっちり怒られていました。
ところでクランパーと市民の戦いは、ふつう運転手が高い罰金を支払って前者の勝利となるワケですが、先日は面白いことに、市民の連帯プレーでクランパーの方が困った事態になったそう。なんでもロンドン郊外に住む男性が、家の近くにとめていた車にクランプを取り付けられ、逆ギレ。携帯電話で親戚や友人に電話をかけて、応戦を頼んだのです。そして駆けつけた人々の車合計5台で、なんとクランパーの車を包囲。逆に逃げられないようにしてしまったとか(汗)。
このまま3時間のにらみ合いが続き、結局クランパーが根負けして、金具の撤去をしたそうです。おおおおっ! クランパーに日夜恨みのあるロンドン市民、これを見て拍手喝采だったとか……。
それにしても、クランパーが金具を取り付けると、車は動くに動けず、またその場所に数時間居座ることになりますよね。そうすると、その分また駐車スペースが足りなくなるんじゃないでしょうか? 本当にさっさと動いていてくれれば、駐車違反も少なくなると思うのですが。
クランパーにはこの理由付けは通用しないんですかねぇ? しないな、多分(笑)。