皮膚細胞からヒトの「胚」作成と、カルフォルニアの研究者が発表。

2008/01/21 12:30 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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なんでそんなことを考え付いたのか、今でも思い出せないのですが、

「将来、科学の力で『男と女』でないカップルの間にも2人の遺伝子を受け継いだ子供を、作れるようになるんじゃないかなぁ?」

と、ぼんやりと思ったことが。もちろん倫理的な問題をまったく無視した、科学的な可能性だけの話ですけど……。でも個人的には、ゲイ・カップルに子供が生まれたっていいんじゃないかという意見です。

まあ、そんな漠然なる想像をしていたことを、ふと思い出すニュースが報道されたのです。カルフォルニアの研究グループが、ヒトの皮膚細胞から胚(受精から約8週間目までの個体のこと)を作り出すことに成功したというのです。しかもその細胞の提供者は2人はどちらも男性。

もっとも今回作られたのは、2人の遺伝子を半分ずつ持っている胚ではなく、単に個々のクローンであるとか。しかし生殖機能のない男性から、受精卵から赤ちゃんに成長する、その中間の過程である胚が作り出されたなんて……。神秘的といえば、神秘的です。

しかしながらこの情報、研究者の間では今のところ、冷静な反応しかされていません。なぜなら胚を皮膚細胞から作ることに成功したといっても、今回の研究はヒト多能性幹(ES)細胞の作成にまでには行き着いていないから。実験が移植再生医療などの研究に役立つ日が来るのはまだまだ先のこと、という見解なのです。

それに以前、ES細胞研究で偽の論文を発表していた韓国の研究者のケースもあります。そういった背景があるからこそ、この分野では新しい情報には特に懐疑的にならざるを得ないのでしょう。

しかし、科学の力って恐ろしい……。

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