ハンドボール再予選にUAEが不参加決定、日韓2カ国での開催へ。

2008/01/17 23:48 Written by コジマ

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欧州ではサッカーに次ぐ人気スポーツとなっているハンドボール。先日Narinari.comでもお伝えした2007年度世界視聴率数ランキングでも、テニスのウィンブルドン選手権決勝などを抑えて、ドイツとポーランドが戦った世界選手権決勝が7位にランクされたのだ。

日本ではこれまでマイナー感が否めないスポーツだったけど、今回の北京五輪アジア予選のやり直しで国民の注目を浴びているのはご存じのとおり。昨年8、9月に行われた同予選は、男子はクウェート、女子はカザフスタンが1位となり五輪出場権を獲得。日本は男女とも3位に終わり、女子は今春の世界最終予選に参加できるため可能性は残されていたものの、男子は五輪出場権を完全に逃してしまった。しかし、男子の日本対クウェート戦では試合終了後に両チームの選手が騒然となったように、この予選は審判の中東びいきの判定が問題となっていたのだ。

日本が参加しているアジアハンドボール連盟(AHF)は中東諸国の関係者が要職を占めており、特にクウェートの王族によって支配されているといわれている。しかし、湾岸協力会議(GCC)に参加する諸国はクウェート王族への恐怖から不正をただすことができず、その代わりに「中東の笛」と呼ばれる中東勢に有利な判定を受ける恩恵を受けていたのだ。今回のアジア予選では、日本や韓国がクウェートと対戦した際に、不可解な判定が頻発。国際ハンドボール連盟(IHF)が指名した欧州の審判団を、AHFが中東の審判団変更したことまで明らかになった。

これに対して日本と韓国が予選の直接管理を求めてIHFに要望書を提出したため、IHFはAHFへの再開催を指示。しかし、AHFが根拠がないとして拒否したことから、男女ともにIHFの直接管理下で1月下旬にやり直すことを決定した。あまりにもアンフェアな状態に、IHF内では五輪競技から除外されるのではないかと危惧する声も上がっていたのだとか。

この決定に不満をあらわにしたAHFは、クウェートとカザフスタンが文書で再予選への不参加を通知。カタールも不参加を表明していたのだけど、1月17日にアラブ首長国連邦(UAE)も不参加を決定した。そのため、やり直し予選は男女ともほぼ日本と韓国だけで実施されることになったのだ。

たった2カ国の参加で五輪予選が成立するのか心配になってしまうけど、IHFのムスタファ会長は「何カ国の参加であろうと(やり直しの)アジア予選は行う。それがIHFの決定だ」(朝日新聞より)とし、2カ国でも「このやり直し予選は有効だ」(同)と明言している。

再予選の会場としてIHFは当初、第3国である中国に打診したのだけれど、中国側が断ったために日本での開催が決定した。これに対して韓国は、2カ国だけで行うなら両国で開催したいという要望を提出しているのだ。

紆余曲折を経て、選手たちにとってはプレー以外に大きな負担を強いることになってしまったものの、AHFの異常性が世界的に認知されたことは大きいのではないだろうか。クウェートが支配するAHFに対しては予選に出場できなかったバーレーンからも批判の声が上がっており、これを機にAHFの組織が改善されることが望まれるのだ。

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