クリスマス・カードに仕掛けられた、とある男性の大きな「イタズラ」。

2007/12/26 12:54 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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日本では年末年始のご挨拶といえば年賀状ですが、米国ではやっぱりクリスマス・カード。ウォール真木、ここ数年面倒くさくなって、書いてませんが(笑)。もちろん年賀状もパスしております……。それでも多くの人々にとって、クリスマス・カードを送るというのは大切な習わしであり、いろいろと特別な思い入れがあることでしょう。

オレゴン州のチェット・フィッチさんは、常にいろいろなジョークをしかけては人々を驚かせたり、笑わせるのが大好きな88歳の男性。そんな彼ですからクリスマス・カードにだって、何らかの「ヒネリ」を加えるのがお約束です。そして今年、フィッチさんから便りを受け取った知人や家族は、彼の思惑どおり本当にビックリしちゃったのだとか。

なぜならフィッチさん、今年10月に帰らぬ人となっていたのですから……。

返信の住所が「天国」とだけ書かれたフィッチさんからのクリスマス・カードには、こんなことが綴られていたそうです。

「やあ、神様に頼み込んでみんなにカードを送る許可をもらったよ。最初はダメだっていわれたけど、しつこくお願いしたからね。ここ(天国)での生活をいろいろ教えてあげたいけど、少ない言葉じゃ表現出来ないよ。そろそろ神様のところに戻らないといけないし(ただでさえ、最初の時に入れてもらえただけでもラッキーだったしね)、それにいつかまた君たちとも会えるだろう。もしかしたらその再会の時は、君たちが予想しているよりも、もっと早いかもしれないよ」

……いや天国にいるフィッチさんと、そんなにすぐ再会しちゃってもマズかろうに(笑)。こんなカードを届けられた友人の1人、デビー・ベルナードさんは、

「もう『あのヤロー』としか(笑)。でも本当に彼らしいわ。いっつも最後に大きなウケをねらうんだから……」

と、その時のリアクションを語っております。

さて、このクリスマス・カード。もちろん天国から届いたワケではなく、フィッチさんが生前に長年に渡り準備していたもの。彼はとある床屋さんの常連客だったのですが、20年前からそこに務めるパティ・ディーンさんという女性に毎年、

「僕が死んだら、こういうメッセージを書いたクリスマス・カードを送ってくれ」

と代金と住所録を渡していたそうです。フィッチさんは切手代が上がればその差額をキチンと支払い、さらに住所録も毎年ちゃんと更新していたというから、その最後の「大ウケ」のためには相当の労力を費やしていたんですね……(汗)。

そして数ヶ月前のある日のこと。いつも通り彼の髪を切るディーンさんを椅子から見上げて、フィッチさんは呟きました。

「そろそろ例のカードを送る日を待つのに、あきあきしてるんじゃない? でも今年こそは、実現すると思うよ」

フィッチさんがなくなったのは、この言葉の1週間後だったそうです。

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