個人の縄張り? 「パーソナル・スペース」が引き起こした悲劇。

2007/11/30 14:03 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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「パーソナル・スペース」というコンセプトをご存知でしょうか? これは人が自分の周辺に持つ空間のことで、シャボン玉のように個人の体を包んでいます。いわゆる想像上の「縄張り」ですね。

このスペースに他人が入ってくると、なんとなく不快感を感じる、さらには圧迫感や脅迫感さえも呼び起こします。もちろんこのパーソナル・スペースは個人によってその大きさが違いますし、相手との関係によっても変化します。例えば外交的な人は内向的な人より小さいパーソナル・スペースを持っていますし、一般的に男性の方が女性より広めの距離を取ります。


さらに相手が親密な恋人や家族だった場合は、パーソナル・スペースも狭くて済みますが、初対面の人などにはかなりゆとりのある空間を必要とします。いわれてみれば当たり前な感覚ですよね。

ちなみに国や文化の違いもこのパーソナル・スペースに大きな影響を及ぼします。以前ウォール真木が南米旅行をした時のことなんですが、とあるお店に足を運んだところ、店員さんが物凄い至近距離で接客してくれたのです。多分顔と顔が15センチぐらいしか離れていなかった(笑)。

日本人であるワタクシのパーソナル・スペースでいうと、かなり彼女は「親密」な空間に入り込んでました。まあ、美人だったから許すけど……。それでも無意識に彼女から離れよう、離れようと横に移動し、彼女は彼女でお客さんに遠過ぎるのは失礼だと感じたのか、どんどん付いてくる(笑)。なんか変な感じでした。

なにはともあれ、このパーソナル・スペースの感じ方は個人それぞれなのですが、先日この感覚の違いが原因で、なんと殺人事件が起こってしまったとか。ミルウォーキー州のとある町で、深夜バーから出てきたタイソン・ロッツ容疑者、29歳は、路上で携帯電話で話しながら歩いてきたロナルド・シェリンジャーさんに、肩をぶつけられたのです。

お互いに酒気を帯びていたらしく、思わず悪態を付いてしまった2人。その後、違う方向に歩き去ったと思いきや、シェリンジャーさんはきびすを返すと、またロッツ容疑者に近づき始めたのです。そしてロッツ容疑者いわく、

「俺の『バブル』(英俗語でパーソナル・スペースのことをこう呼ぶ)に奴が入ってきたんだ」

とのことで、恐怖感を感じた彼はシェリンジャーさんに殴りかかりました。シェリンジャーさんにとっては別に普通の距離だったのかもしれませんけれど……。しかし殴られた衝撃で彼は路上に頭部をぶつけ、打ち所が悪かったためにこん睡状態の陥ってしまい、数時間後に亡くなってしまいました。ロッツ容疑者は殺人容疑で逮捕され、裁判の結果によっては23年の刑期に服さねばならないそうです。

いやはや、目に見えないとはいえパーソナル・スペースって人の人生さえも変えてしまうモノだったんですねぇ。

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