女子テニスのマルチナ・ヒンギス選手が引退へ、薬物陽性反応で。

2007/11/02 15:53 Written by コジマ

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1994年に14歳でデビューして以来、数々の最年少記録を打ち立てたスイスのテニスプレーヤー、マルチナ・ヒンギス選手。足の故障やパワーテニス時代の到来によって03年に一時引退をしたのだけど、昨年に現役復帰し、最も相性のよい全豪オープンで準々決勝まで勝ち進んだ。ダブルスでは優勝を果たしている。

直後に行われた東レ・パン・パシフィック・テニスでは、パワーテニスにスピードテニスを加えた現在の女子テニス界を象徴するようなマリア・シャラポワ選手を準決勝で撃破。エレナ・デメンディエアワ選手に敗れて惜しくも優勝を逃してしまったけど、ネットプレーやスピンを調節しながらの変幻自在なボールコントロールで揺さぶるプレースタイルは、テニスの面白さを改めて教えてくれたのだ。

そのヒンギス選手が11月1日、今年6月に行われたウィンブルドン選手権のドーピング検査でコカインに陽性反応を示していたことを告白し、潔白を主張しながらも「現役続行のモチベーションが下がった」として引退を表明したのだ。

昨季はローマ・マスターズで優勝するなど世界ランキング7位で終了し、今季も東レ・パン・パシフィック・テニスで優勝したヒンギス選手だけど、足首やでん部などの故障で思うようにプレーできず、4大大会では全豪オープンでベスト8、ウィンブルドン選手と全米オープンでは3回戦で敗退。世界ランキングは17位に下がり、10月12日には今季の残り試合を欠場することも明らかにしていた。

検査結果について、ヒンギス選手は「陽性反応が出たが、私はまったくドラッグを使用したことがないし、100%潔白」(ロイターより)、「衝撃を受け、がく然としている」(CNNより)などと述べ、疑惑に向き合うためにあえて会見を行ったとしている。陽性反応が出たウィンブルドン選手権は故障のために1カ月以上欠場した後の復帰戦だったので、痛みを止めるために使用した疑いも持たれているのだけど、個人的に行った毛髪検査では陰性だったことから、「薬物検査の尿サンプル取り扱いに不備があり、取り違えられた可能性がある」という独自調査の結果を述べるとともに、コカインの使用は「トップクラスのテニスを続けるのに使用が何の利益にもならない」(ともに読売新聞より)と主張しているのだ。会見では、声明を読み上げる声が涙をこらえていたため震えており、この疑惑がいかに無念であるかを周囲に感じさせていたのだとか。

しかし、「潔白を証明したいが、このような訴訟は双方が上訴を繰り返して長引くこともある。今後数年間を、ドーピング担当者との争いで棒に振るつもりはない」(CNNより)、「このような告発があると、一線で試合を続ける意欲がわかない。もう27歳で、現実的にトップクラスのプレーをするには年を取りすぎている」(朝日新聞より)として、現役引退を表明した。

ケガに苦しみながらも、テニスの魅力を再認識させてくれたヒンギス選手だけに、引退が惜しまれる。しかし、02年の引退表明後には「ヨネックス・テニス・フェスティバル」などに参加していたので、競技以外の場では彼女の姿を目にすることができそうなのだ。

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