「駅前留学」や「NOVAウサギ」などで知られる外国語教室の「NOVA」。業界の風雲児としてもてはやされ、一時は業界トップに君臨していた。しかし、2005年から授業料をめぐって受講生とトラブルが報じられており、今年6月には経済産業省の立ち入り検査が行われ、その違法性が指摘されていた。また、従業員の給与や賞与、給料から天引きされているはずの家賃が支払われなかったためにこちらも大問題となり、ついには10月26日に会社更生法適用を申し立てて経営破綻したのだ。
約400億円の前払い受講料の返還や、約40億円といわれる外国人講師らへの未払い賃金の支払いが不可能とされているのだけど、10月30日に公開された猿橋望前社長の社長室を見て、ア然としてしまったのだ。
社長室があるのは、NOVAが入る大阪・難波のオフィスビル20階。保全管理人の東畠敏明弁護士らが会見の後に公開したのだけど、広さ約100坪の中に、ドンペリなどの高級酒が並ぶバーカウンターや大阪市内を見渡せる木組みのテラスがあり、奥にはダブルベッドや浴室、サウナのほかに、8畳の“隠し部屋”まであった。その工事費は6000万〜7000万円だそうで、家賃は月270万円。05年度の会社決算が31億円の赤字の中で3億9000万円の所得を得ていた猿橋前社長だけど、社長室の費用はすべて会社が負担していたそうなのだ。
この社長室は側近中の側近しか入れなかったため、あまりの豪華さにマスコミだけでなく社員も驚愕した後に怒りを感じていたのだそう。超ワンマン経営者であることが明らかになった猿橋前社長だけど、これほどの施設を持っているとは社員も考えられなかったことが分かるのだ。さらに、東京にも同じような社長室があるのだそう。
株をめぐる問題も浮上し、次々と会社の私物化が明らかになっている猿橋前社長。東畠弁護士は「強い怒りを感じる。こうした資産が私どもに委ねられることを期待していたのだが」(産経新聞より)とコメントしているのだけど、受講生や講師たち、さらに社員も同じ気持ちなのかも。