動物を飼っている人とそうでない人、その間には考え方に開きを感じることもしばしば。ぼくは魚以外に動物を飼ったことがないのだけど、猫を飼っている友人と飲んでいるときに、「今日は家に誰もいないから、○○(猫の名前)にご飯あげるために早く帰る」と言うので、「猫にエサあげるために早く帰るのかよ〜」と残念がったら、「『エサ』じゃない! 『ご飯』だ!」と怒り出したので、びっくりした経験があるのだ。
こうしたペット(その友人は「ペット」という言葉にも渋い顔をする)への意識の違いは言葉だけでなく、実生活にも影響が及ぶことが多い。こうした中、「公園で犬の放し飼い禁止は違法だ」などの主張を記載しているブログについて、管理者が在住しているとみられる東京都や西東京市に苦情が寄せられ、都と市がプロバイダに削除を求めていたことが明らかになったのだ。
管理者の愛犬家はいくつもブログを持っているようで、それぞれのブログで「しつけのいい犬は放し飼いでもいい」「リードは動物虐待」「狂犬病予防法は時代遅れの悪法」という持論を展開していた。また、「獣医やペットフード業者の情報は嘘ばかり」ともしている。
このブログの記述は影響が大きいようで、以前、西東京市の職員が公園で犬を放し飼いにしている飼い主に注意したところ、ブログの記述を盾に反論されたこともあるそうなのだ。こうした状態を重くみた都と市は、今年2月に苦情が殺到したこともあってブログの削除をサイト提供者の「楽天」と「ヤフー」に求めた。自治体からの削除請求は初のことのようだけど、両社は請求を拒否し、6月に今度は「楽天」にだけブログ管理者の身元情報の開示を求めた際にもやはり突っぱねているのだ。
中日新聞には、プロバイダなどの団体であるテレコムサービス協会の桑子博行サービス倫理委員長の「安易に削除に応じれば、表現の自由を定めた憲法二一条や、電気通信事業法に抵触する恐れがある」というコメントとともに、都環境衛生課の「ブログは明らかに法律を否定する内容。誤った考えを先導するブログを放置するのは好ましくない」という反論が掲載されている。
犬のことを考えると放し飼いにするのが一番だということは、犬を飼っていないぼくでも理解できるのだけど、現行法では違法なうえに犬にかみつかれた被害も年に5000件を超えている。ブログに書かれている主張を鵜呑みしたり、それを盾に反論したりして放し飼いする飼い主が増えていることは、犬を飼っていない人にとってはちょっと脅威を感じるのだ。
また、犬を飼っている友人がリードを付けないで散歩をしていたところ、飼い犬が通りかかった人にかみついて少なくない慰謝料を支払ったという話も聞いたことがある。こうした主張を信じきっていると、通行人だけでなく飼い主も痛い目に遭うことになるかも。ただ、リードを付けていない犬が駆け回る公園も素敵だけど……。