「僕は今 何もいらない 紙以外」、トイレ川柳の入賞作品発表。

2007/10/17 23:17 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


不浄なトイレだけど、そこで繰り広げられるドラマは悲喜こもごも。個室なだけに、他人には言えないような出来事もたくさん起こっていると思うのだ。ぼくも大失敗したエピソードは数知れず、人に言わずに自分の心だけにとどめていることも多いのだ。

こうしたトイレの中でのエピソードを「5・7・5」にまとめた「トイレ川柳大賞」の入賞作品が発表された。「トイレ川柳大賞」は、TOTOが2005年から始めたもので、今回で3回目。同社の創立90周年を迎えた今年は最優秀賞を「90周年記念賞」とし、小学生以下を対象とした「キッズ賞」も新設したのだ。選者は、過去2回同様にコピーライターの仲畑貴志氏が務めている。

今年の前に前回の入賞作品を見てみると、最優秀賞は「一生で 最も世話に なる小部屋」。ちょっと普通に感じてしまうのだけど、なかなか深い句なのだ。優秀賞は「おトイレで 部長と課長に はさまれて」「おぼえたね 九九にかんじに せかいちず」「オバサンに 男子トイレで せかされる」などで、「ノックして 『どうぞ』と言われ 逃げてきた」というちょっと怖いものや、「手洗いに うちわ残して 父は逝く」なんてしんみりしてしまうものまで多岐にわたっているのだ。

さて、今回は過去2回を上回る1万6334句が応募されたのだけど、その中から「90周年記念賞」に選ばれたのは、「僕は今 何もいらない 紙以外」だった。事前にチェックしておけばよいことだけど、ぼくもついつい用を足してから気づくことが多いのだ。

新設された「キッズ賞」は、「長い列 子供をだしに 入る母」「子供には トレペホルダー 遠いのよ」「トイレがね オレの部屋だと パパが言う」「父左 ぼくも左に 飛ばす癖」の4句が選ばれた。ほほえましい光景が浮かんできそうだけど、最初の作品は小学生が考えたと思えないほど大人びているのだ。

さらに「優秀賞」は、「合コンで 談合起きる 女子トイレ」「元カレの 歯ブラシ使い 便器磨き」「結婚て いいなトイレに 花一輪」「言い出せず デート帰りは 猛ダッシュ」「小宇宙 利休は茶室 俺トイレ」などが選ばれており、最新式のトイレを詠んだ「寄ってあく 離れてしまる 子がさわぐ」という句もあるのだ。

「佳作賞」にも面白い作品があって、ぼくのお気に入りは「消臭の 限界を知る 父の後」。「音姫の 代わりに妹 歌い出す」や「ノックする 強さで分かる 緊急度」というのもなかなかなのだけど、「『トイレ行く』 それきり彼氏 戻らない」は悲しかったのだ。ペンネームも「男子トイレで破局」だし。

今回の「90周年記念賞」「キッズ賞」「優秀賞」の作品20句が掲載されたトイレットペーパーも11月10日に発売されるのだそう。ぼくにとってはもっぱら読書や原稿を書く際に頭の中を整理する場となっているのだけど、トイレの中で「トイレ川柳」をひねってみるのも楽しいかも。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.