牛のフンからバニラ香料、イグノーベル賞で日本人女性研究者が表彰。

2007/10/05 23:09 Written by コジマ

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毎年、感心しながらも思わず笑ってしまう研究が表彰されているイグノーベル賞。米ユーモア科学誌「風変わりな研究年報(Annals of Improbable Research)」が企画・運営している賞で、「ノーベル賞」と「卑劣な、あさましい」などを意味する「イグノーブル(ignoble)」をかけて名付けられたのだとか。

1991年に創設され、これまでにさまざまな分野の研究者が表彰されるのだけど、日本人研究者は92年に「足のニオイの原因となる化学物質の特定(Elucidation of chemical compounds responsible for foot malodour)」という研究で医学賞を受賞した資生堂研究員の神田不二宏氏ら以来、11人が表彰されている。かのドクター中松も、34年間自分の食事を撮影したことで05年に栄養学賞を受賞しているのだ。

そのイグノーベル賞の授賞式が今年も米ハーバード大学で開催された。今回は医学、心理学、物理学、生物学、化学、言語学、文学、平和、栄養学、経済学、航空学の11部門の研究者らが表彰されたのだけど、化学賞に日本人女性の研究が選ばれたのだ。

受賞したのは、山本麻由さん。まだ26歳と若いのだ。対象となったのは山本さんが国立国際医療センター研究所の研究員だった04年に発表した研究で、内容は牛のフンからバニラ香料「バニリン」の抽出に成功したというもの。詳しく説明すると、牛のフン1グラムに水4ミリリットルを加えて200度で60分間加熱すると、1グラムあたり約50マイクログラムの「バニリン」を抽出できることを発見したのだ。

バニリンはアイスクリームはもちろん、さまざまな食品や香水、シャンプーなどに利用されているのだけど、抽出コストはバニラ豆を原料とする方法に比べておよそ半分になるのだとか。牛だけでなく、馬やヤギなどの草食動物のフンからも抽出できるのだそう。

受賞にあたって、山本さんは「イメージしてみてください、牛のフンを温めたにおいを」とコメント。「実は甘い」そうだけど、想像したくないのだ(笑)。会場では山本さんの名前を冠したアイスクリームが振舞われたのだけど、食べている人はみんな微妙な顔をしていたのだ。いくらにおわないとはいえ、研究内容を聞いた直後ではちょっと気持ち悪いかも。

このほか、バイアグラがハムスターの時差ぼけ解消に効果があることを発見したアルゼンチン・キルメス国立大学の研究者らが航空学賞、英国人放射線医師らによる「剣を飲み込む芸とその副作用」が医学賞、米空軍ライト研究所による敵兵同士を恋に陥らせて士気をそぐ化学兵器の研究が平和賞を受賞している。米空軍ライト研究所の兵器は、その名も「ゲイ・ボム」。非殺傷性なので、平和にかなり貢献しそうなのだ。でも、こうした研究へ真剣に取り組んでいる姿を想像すると、思わず噴き出しそうになるのだ。

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