銀行員に「爆発物」取り付け現金略奪、ピザ配達人事件の模倣か。

2007/10/03 09:48 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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今年7月、全米のヘッドラインを沸かせたニュースがありました。

「2003年の『ピザ配達人爆死事件』の容疑者を特定、逮捕へ」

この事件は、同年8月28日にペンシルバニア州のエリーという町で、ブライアン・ウェルズというピザ配達員が、その日最後の配達に出かけてから20分後、近所の銀行に強盗に押し入ったことから始まります。25万ドルを要求したものの、それが失敗に終わると逃走。しかし駆けつけた警察に捕らえられ、手錠をかけられた彼はもう身動きが取れませんでした。

こうして銀行強盗の容疑者が逮捕され、これで事件も終わるはずだったのです。ところがウェルズはここで

「自分には爆弾が仕掛けられている。脅されて強盗を働くように命令されたのだ」

と主張。確かにそれらしき装置が、彼の首に取り付けられていたのです。警察官は最初は狂言かと疑ったものの、ウェルズの話しぶりから真実を感じ取り、爆弾処理のスペシャリストが呼ばれます。

この時の様子は、現場に駆けつけたカメラマンがビデオに納めており、直後から全米のメディアで何度も繰り返し流れた映像です。停車するパトカー数台に囲まれ、後ろ手に手錠をかけられたウェルズが路上に座り込み、離れたところから警察官が拳銃を構えて彼を監視しています。

「爆弾の処理班はまだか、もう時間がないんだ」
「どうして見ているだけで、誰も助けてくれない?」

と訴えるウェルズ。そしてカメラが彼の姿からレンズを離したその時、突然「ボン」と爆発音が。再び映された彼の体は横に倒れて動かなくなっています。即死でした。

この衝撃的な事件は、こうして唯一の証言者が死んでしまったこともあり、その後捜査が難航。一時は迷宮入りとも言われました。しかし、2007年の初めに「容疑者逮捕のための最終段階に入っている」と警察が発表。同年7月にマージョリー・ディール・アームストロングとケネス・バーンズという2人を逮捕しました。そしてウェルズも共犯者として特定され、事件の真相が明らかになったのです。

さて、この衝撃的な事件はその後、犯罪ドラマの題材になったり(「CSIマイアミ」など)して、人々の記憶に強烈な印象を残しました。その分「模倣犯」の出現も高くなるのは当たり前。今回フロリダで起こった銀行強盗事件も、ウェルズ事件そのままのシナリオで行われたのです。

とある銀行に勤める行員の家にその朝、武装した男3人が押し入り、彼の体に爆発物らしきものをテープで巻きつけました。そのままこの行員を銀行に連れて行き、他の職員を脅して2,500ドルを略奪。そのまま犯人は逃走したそうです。

残された行員に取り付けられた物は、調べた結果偽者だと判明したそうですが、過去の事件を思い起こさせる恐ろしい出来事だったことに違いはありません。

早く犯人が捕まるといいですねぇ。

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