ブランド魚「関さば」がピンチ、原因不明の不漁で超プレミア化も。

2007/09/10 23:58 Written by コジマ

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実りの秋を迎え、おいしいものがたくさん食べられるかと思うとわくわくしてくる。特に海産物は豊かで、サンマやサケ(とイクラ)、カツオ、アジ、イワシ、クロダイ、カワハギ、ヒラメなどなど、考えるだけでヨダレが出てきてしまう。日本人の食卓に欠かせないサバもその1つで、丸々太った身にはたっぷりと脂がさしこんでいる。「サバを読む」の語源となったほど大量に取れたのだけど、近年は漁獲量が減っており、養殖モノも多く出回っているのだとか。それでも、安価に秋の味覚を堪能できるサバはありがたい魚なのだ。

このサバの中でも高級ブランド魚として知られているのが、大分県佐賀関で取れる「関さば」。「関あじ」同様、潮流の速い豊後水道でもまれた身は抜群の歯ごたえで、サバ特有の臭みが少なく、刺身にぴったりのサバなのだ。1996年には水産品として初となる商標登録が認可されており、昨年の「地域団体商標」の第1弾として登録。一本釣りで漁をし、こちらは太平洋で取れるサバとは違って冬が旬なのだそう。

こうして旬を迎える直前の「関さば」に、ある異変が起きているというから穏やかでない。なんでも、原因不明の不漁によって、「幻の魚」になる可能性があるのだとか。

「関さば」は毎年7月頃から盛んになるのだけど、アル漁師さんの話では、例年は多ければ1日50〜60匹が釣れるこの季節に今年は2カ月でわずか数匹。1匹も釣れないという日が続いているようなのだ。これは全体的な現象で、実際に統計を見ると03年に24万キロだった漁獲量が、昨年は約10万キロに激減している。その原因が不明というのも不気味なのだ。またもや温暖化の影響なのかもしれない。

原油価格の高騰と相まって「関さば」漁を営む漁師さんたちからは悲鳴が上がっているのだけど、原因不明のため打つ手がなく、ただただ漁獲量の低下に手をこまねいている状態なのだそう。大分県漁協からは、「将来、実際にもう幻の魚ということで、関あじ・関さばを全国の皆さんが食べられなくなる状態になるのではないかと考えております」(TBSニュースより)という弱気な発言も。今年の段階ですでに、超プレミア化しそうな状態なのだ。

これに対して同漁協は、「関あじ」の中でも高値がつきにくい小さなものを干物やフライに加工して漁師さんたちの所得を上げていきたいとしているのだそう。「関あじ」のフライなんて、なんとも贅沢な話なのだ。

一方で、北海道では不漁年のはずのカラフトマスが大漁になっているというニュースもあった。カラフトマスは2年で成魚になるため豊漁と不漁が1年置きにやってくるそうで、今年はまさに不漁年だったのに、830万匹と豊漁年の漁獲量(およそ900万〜1000万匹)に迫る勢いなのだとか。

しかし、その北海道でかつて「御殿」が建てられるほど取れたニシンが1955年以降は激減したということもある。この原因として海流や海水温の変化、乱獲などが挙げられているのだけど、どれも決定的なものではないのだそう。もしかしたら、漁場は変化していくものなのかもしれない。そうなれば、いま別の場所でとれているのが「関さば」なのかも。

いずれにせよ、今年「関さば」にありつくには大枚をはたかなければならないようで、今後は大金を積んでも食べられなくなる可能性が出てきている。こうなると、宮城県の三陸近海で取れる「金華サバ」も心配になってくるのだ。

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