米MTVが主催するミュージック・ビデオの祭典、MTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)。前年の7月1日から開催年の6月30日までに発表された楽曲やミュージシャンなどを対象に表彰する賞で、米国では絶大な権威を誇っているのだ。その米国最大の祭典が、今年も9月9日にラスベガスで授賞式が行われた。
今回は、昨年9月の誕生日にセカンド・アルバム『B'DAY』をリリースしたビヨンセと、同じく昨年9月に『フューチャー・セックス/ラヴ・サウンズ』を発表したジャスティン・ティンバーレイクが最多7部門にノミネートされて注目を浴びていた。これに、5部門のカニエ・ウェスト、4部門のリアーナが続き、英国人のエイミー・ワインハウスは新人ながら3部門にノミネートされていたのだ。
最注目賞である最優秀ビデオ賞は、ビヨンセの「イレプレイスブル」、ジャスティン・ティンバーレイクの「ワット・ゴーズ・アラウンド...〜...カムズ・アラウンド」、エイミー・ワインハウスの「リハブ」、ノミネートによって米国で「誰だ!?」と話題になったフランスのエレクトロ・デュオ、ジャスティスの「D.A.N.C.E.」などがノミネートされていたのだけど、今年の栄冠はジェイ・Zとフィーチャリングした「アンブレラ」でリアーナが手にしたのだ。この賞では、プレゼンターのメアリー・J.ブライジに招かれて、サプライズ・プレゼンターのドクター・ドレも登場した。
リアーナはこのほか、アヴリル・ラヴィーンやリル・ママ、ドートリー、フォール・アウト・ボーイらを抑えて同曲でモンスター・シングル賞も受賞。今年の中心人物であることを証明した。憧れだったビヨンセに、その恋人とのフィーチャリングで勝ったというのがなんとも皮肉なのだ。
そのビヨンセは、7部門にノミネートされながらも、シャキーラとの2大ディーヴァ競演が話題となった「ビューティフル・ライアー 〜華麗なる反撃」で地球震撼のコラボレーション賞(Most Earth-Shattering Collaboration)を受賞したのみだった。でも、この賞のプレゼンターを務めたカニエ・ウェストと50セントがにらみ合うパフォーマンスはちょっと面白かったのだ。ちなみに、シャキーラは授賞式に出席しなかった。
一方、もう1人の最多ノミネートだったジャスティン・ティンバーレイクは、最優秀男性アーティスト賞と4分野で優れたアーティスト賞(Quadruple Threat of the Year)を受賞。さらに、「ワット・ゴーズ・アラウンド...〜...カムズ・アラウンド」のビデオを手がけたサミュエル・ベイヤー監督が最優秀監督賞、T.I.とのコラボレーションが話題となった「マイ・ラヴ」で振り付けを担当したマーティ・クデルカが最優秀振り付け賞を受賞している。
このほか、最優秀女性アーティスト賞はファーギーが、最優秀グループ賞はフォール・アウト・ボーイが、最優秀新人アーティスト賞はジム・クラス・ヒーローズが、最優秀編集賞はナールズ・バークレイの「スマイリー・フェイシズ」を手がけたケン・モウが、それぞれ受賞している。結局、カニエ・ウェストとエイミー・ワインハウスは1つも受賞できなかった。
さらに、今回のVMAで最も注目されたのがブリトニー・スピアーズの復帰ライブ。ブリトニーはほとんど下着のような格好で新曲「ギミ・モア」を披露し、健在ぶりをアピールしたのだ。これについて、MTVは「ジェームズ・ボンドとアングラのSMクラブを足して2で割ったようなパフォーマンス」と評している。そのほか、ジャスティン・ティンバーレイクやカニエ・ウェスト、フォール・アウト・ボーイ、ネリー・ファータドなどがパフォーマンスで会場を盛り上げた。
この華やかな授賞式で、ある事件も起こっている。セクシー女優のパメラ・アンダーソンと、そのパメラとよく分からない関係になっている元モトリー・クルーのトミー・リー、元婚約者のキッド・ロックがこの会場に居合わせ、トミー・リーとキッド・ロックが激しい口論を展開。殴り合い寸前で周りに止められたのだ。トミー・リーがバカにしたのか、キッド・ロックが罵ったのかは分からないけど、いまだに尾を引くほど2人の一流ミュージシャンを惑わすパメラ・アンダーソン。恐ろしいのだ。
このトミー・リーとキッド・ロックのケンカも含めた授賞式のようすは、
MTV VMA公式サイトの動画で確認できるので、興味のある人はぜひ。
☆MTVビデオ・ミュージック・アワード2007 受賞者
[最優秀ビデオ賞]
リアーナ feat. ジェイ・Z 「アンブレラ」
[最優秀男性アーティスト賞]
ジャスティン・ティンバーレイク
[最優秀女性アーティスト賞]
ファーギー
[最優秀グループ賞]
フォール・アウト・ボーイ
[最優秀新人アーティスト賞]
ジム・クラス・ヒーローズ
[地球震撼のコラボレーション賞]
ビヨンセ&シャキーラ 「ビューティフル・ライアー 〜華麗なる反撃」
[4分野で優れたアーティスト賞]
ジャスティン・ティンバーレイク
[モンスター・シングル賞]
リアーナ feat. ジェイ・Z 「アンブレラ」
[最優秀監督賞]
サミュエル・ベイヤー(ジャスティン・ティンバーレイク「ワット・ゴーズ・アラウンド...〜...カムズ・アラウンド」)
[最優秀ビデオ編集賞]
ケン・モウ(ナールズ・バークレイ「スマイリー・フェイセズ」)
[最優秀ビデオ振り付け賞]
マーティ・クデルカ(ジャスティン・ティンバーレイク feat. T.I.「マイ・ラヴ」)