日本ハムのヒルマン監督が今季限りの退団を表明、理由は「家族」。

2007/09/08 22:01 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


2003年、本拠地移転前の日本ハムに迎えられたトレイ・ヒルマン監督。「日本ハム監督にヒルマン氏就任」と聞いたときは、「肩に小錦が乗っているようだ」という迷言を残して93年に日本を去ったエリック・ヒルマン投手(ロッテ−巨人)が監督になったのかと勘違いしたのだ。大リーグでの実績がなく日本の野球も経験していない監督の起用に少々驚いたのだけど、米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキース傘下の3Aコロンバス・クリッパーズ監督時代に野球専門誌から最有望監督賞に選ばれるなどの実績は確かで、就任1年目こそ5位で終わったものの、北海道移転後の04年にはレギュラーシーズン3位でプレーオフへ進出。昨季はついに25年ぶりとなるリーグ優勝を果たし、プレーオフも通過して44年ぶりとなる日本一、そしてアジア一に導いたのだ。

また、温厚でおちゃめな人柄は北海道だけでなく多くの野球ファンに愛され、「シンジラレナ〜イ」は「2006 ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされた。選手たちへの気配りも細やかで、監督批判をした金村暁投手に対しても責めなかったどころか電話で感謝の意を伝えているのだ。そんなヒルマン監督が、激情家で有名な広島のマーティ・ブラウン監督と親友というのが面白いけど、選手を大切にする姿勢で意見が一致しているのかもしれない。

新庄剛志(SHINJO)外野手や小笠原道大内野手、岡島秀樹投手らが相次いで去った今季は戦力低下が懸念されていたものの、5月から6月にはチーム新記録となる14連勝(うち交流戦12連勝はプロ野球記録)を達成し、9月8日現在で僅差ながらも1位になっている。チームの打率や本塁打数、得点がリーグ最下位であることを考えると、ヒルマン監督の手腕が確かであることが分かるのだ。日本ハムのファンは、1年でも多くの監督続行を望んでいたのではないだろうか。その声に応えるかのように、球団は6月という早い段階で続投要請していた。

ところが、9月8日に本拠地・札幌ドームで行われた西武戦の終了後、ヒルマン監督は今季限りで退団することを発表した。その理由は「子どもたちが多感な時期を迎えるので、安定した教育環境をつくりたかった」(サンケイスポーツより)。球団には8月上旬に退団の意向を伝えていたそうで、藤井純一球団社長はこれまで慰留を続けていたのだけどヒルマン監督の意志は固く、同監督の「気持ちが固まった以上、早く話したかった」という要望から今回の発表に至ったようなのだ。来季以降の進路は未定とのこと。

このことは親友のブラウン監督も知らされていなかったらしく、「初耳だ。彼とはシーズンが始まる前は電子メールなどで連絡を取っていたけど、最近はしばらくやっていなかった」(時事通信より)と語っている。また、ロッテのボビー・バレンタイン監督は「日本のプロ野球界は、素晴らしい人材を失うことになった。彼は家族をとても大事にする人物。今後すべてがうまくいくように祈っている」()と、退団を残念がっていたのだ。監督である前に父なのだから、これは仕方のないことなのかもしれない。

しかし、首位のチームの監督がリーグ戦の途中で退団を発表するのは異例なこと。昨オフはかつて育成部ディレクターなどを務めていたテキサス・レンジャーズなどメジャー3球団から監督候補にリストアップされたのだけど、メジャー志向の強いヒルマン監督だけに、異例の退団発表は移籍への布石ともとれるのだ。今季も1年契約だったし。これについて、楽天の野村克也監督は「辞めるって? この(優勝を争っている)大事な時期に…。メジャーに帰るのかな。どっかにすっぱ抜かれたのか」(時事通信より)と推察しているのだ。

いずれにせよ、21試合を残して2位のソフトバンクとは1ゲーム差。プレーオフ(クライマックスシリーズ)への進出は確実だけど、指揮官の早期退団発表が連覇を目指すチームに影響が出なければいいけど……。ちなみに、次期監督は白井一幸ヘッドコーチが有力視されているのだそう。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.