内閣府や文科省も「ウィキペディア」編集、農水省は「ガンダム」に執着。

2007/08/29 23:52 Written by コジマ

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非営利を理念に、ネット上で作成・公開されている百科事典「ウィキペディア」。昨年3月で日本語版の利用者は700万人にものぼり、ちょっとした調べものになくてはならない存在となっている。「ウィキペディアはニュース速報ではありません。性急な編集をせず事実を確認し、正確な記述を心がけてください。」とあるのだけど、ニュースが報じられた直後に関連項目に反映されていることもしばしばなのだ。

誰もが自由に参加できるため、情報が多い一方で信憑性や精度は保証されていないという問題点も挙げられているのだけど、運営者が頭を抱えているのが「荒らし」や編集合戦。たびたび問題となる項目には「保護」などの処置をしているものの編集合戦は後を絶たず、特定の団体からの自分に有利となる編集も問題となっていた。昨年8月には、楽天証券の社員が自社の項目で不利益になる記述を削除していたことが発覚して話題となったのだ。

こうした中で、米カリフォルニア工科大の大学院生が非公式ながら「ウィキペディア」の検索ツール「Wikipedia Scanner(WikiScanner)」を開発した。IPから「ウィキペディア」を編集した組織や企業を突き止めるツールなのだけど、この登場により、米国では製薬会社が精神安定剤の危険性を隠蔽したり、教会が子供への性的虐待スキャンダルを隠したりしたことが次々に発覚した。米マイクロソフトに至っては、報酬付きで記事修正の依頼をしていたのだ。

それだけでなく、米共和党がアラブ諸国の政党である「バース党」の項目で「イラク占領軍」の記述を「イラク解放軍」に編集、オーストラリア政府も閣僚に関する批判的な記事の削除や「イエスキリストこそ、唯一の神だ」と書き込むなど、国家規模で“改ざん”が行われていることが発覚し、世界中にショックを与えた。

「WikiScanner」は英語版に続いて日本語版とドイツ語版も登場したのだけど、日本語版でも政府による編集が続々と発覚しているのだ。まず、内閣府は猪口邦子・元特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)の批判的な記述を削除し、「灘のけんか祭り」や「原子力委員会」など05年7月から今年5月までに計25回の編集を行っていた。

また、総務省からは「電子投票」の項目が10回以上編集されたほか、北海道テレビの人気番組「水曜どうでしょう」の企画の項目やチンギス・ハーンを題材としたシミュレーションゲーム「蒼き狼と白き牝鹿」の項目に書き込みしていたとのこと。さらに、文部科学省からは本間正明・元政府税制調査会会長に関するスキャンダルの削除や、同省が行っている「コミュニティ・スクール」の項目で自画自賛する書き込みも見られ、宮内庁からは天皇陵や歴史関連の書き込み、同庁に関する疑惑記事の削除していたという。

力が抜けてしまうのが厚生労働省と農林水産省で、厚労省はアダルトゲーム「ななついろ★ドロップス」の項目で解説を書き加え、農水省からはアニメ「機動戦士ガンダム」の項目へ大量の書き込みがあったそうなのだ。うむむ、国家公務員が職場のパソコンを使って何をやってるのだか……。

まだまだ発覚しそうな組織による編集、書き込んだり削除した人はいまごろ戦々恐々かも。まさか一般人が書き込みIPを検索できるものが出てくるとは、想像もしなかったのではないだろうか。「ウィキペディア」は自分に対する編集を禁じていないのだけど、バレるとちょっと恥ずかしいのだ。とはいえ、これだけ多くの人が見ている百科事典なだけに、大問題となるような改ざんが出てこないといいなあ。

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