菌マンガ「もやしもん」ブームで農大人気上昇、10月にアニメ化。

2007/08/26 23:15 Written by コジマ

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さまざまなことが題材になるマンガだけど、農業大学が舞台という異色のマンガ「もやしもん」が話題となっている。「もやし」とは植物のモヤシではなく日本酒を造るときに使われる種麹のことで、種麹を提供する「もやし屋」の息子にして空気中のあらゆる菌が見えて触れるという不思議な能力を持つ農大生が主人公。先輩や助手、教授など個性豊かなキャラクターとともに、主人公の肩にいつもいる麹菌A.オリゼーをはじめたくさんのディフォルメ化した菌たちが登場するのだ。

講談社のマンガ誌「イブニング」に連載中の「もやしもん」は、作者である石川雅之の自宅近くに大阪府立大農学部(現生命環境学部)があり、担当編集者も東京農大の近くに暮らしたことがあったために誕生したとのことで、菌を擬人化したのは、岡山県の酒蔵を訪ねたときに杜氏が「菌の声を聞いて日本酒を造っている」と話したことからなのだそう。菌の形は顕微鏡写真を参考にしており、ディフォルメながらも本格的なものなのだ。ちなみに、作者は「『日本初の菌マンガ』などといわれてますが、『風の谷のナウシカ』は最終的に菌が地球を救う話ですし、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』ではグリーン・デイっつースタンドもいましたね」と謙遜している。

「かもすぞー」(「繁殖するぞー」といった意味)が口癖の菌たちがかなりかわいく、青年マンガながら女性や子供のファンも獲得。単行本5巻で計160万部の大ヒットを記録したのだ。4巻に続いて菌キャラクターの携帯ストラップ(海洋堂製)付き限定版を発売した5巻は、12万部があっという間に売り切れたのだそう。このかわいい菌軍団は「のだめカンタービレ」や「喰いタン」など他のマンガにも出張出演しており、そうした点でも知名度が高まったのかも。

ぼくも「のだめ」で知って単行本を読んで以来「かもされて」しまった1人なのだけど、マンガの欄外に脚注をふんだんに盛り込んでいるため、難しいテーマなのにすごく読みやすい。文字は多いものの、読んでるだけですんなりと知識を得ることができるのだ。また、かつてチーズを作る際に胃にある菌を使うために子牛を犠牲にしていたことなど、豆知識も満載されている。

こうした「もやしもん」のヒットで、農大を目指す若者が増えているのだとか。たしかに、このマンガを読んでいると農学に興味が出てくるのだ。産経新聞には農大人気の具体的な根拠は書かれていないのだけど、Amazonのレビューにもそうした声が多数寄せられており、減少の一途をたどる菌類研究者が増えることが期待されているそうなのだ。このマンガとよく対比される「動物のお医者さん」が大ヒットしたときに獣医学部の受験倍率がはね上がったこともあるので、本当に受験者数が増加するかも。

また、10月には「のだめカンタービレ」を放送していたフジテレビ系「ノイタミナ」枠でアニメ化されることも決定している。オープニングの演出は映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が担当し、本編のアニメーション制作は同映画でVFX映像を作った白組が手がけるとのことで、かわいい菌軍団がテレビでどうやって「かもす」のかも楽しみなのだ。

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