完結した「ハリー・ポッター」に新作? 中国の偽物に原作者激怒。

2007/08/21 22:01 Written by コジマ

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7月20日に世界一斉発売となり、各国の売り上げ記録を塗り替えた「ハリー・ポッター」シリーズの第7巻「Harry Potter and the Deathly Hallows(ハリー・ポッターと死の秘宝=仮題)」。本名がハリー・ポッターさんという米国に住む78歳の男性が話題になったり、発売前にネット上で内容が暴露されたり、フランスの高校生が勝手に仏訳したものを公開して逮捕されたりと、さまざまなこぼれ話も生まれているのだ。

今作で「ハリー・ポッター」シリーズは完結したはずなのだけど、まだ第7巻の翻訳版が出版されていない中国で“第8巻”が登場し、話題になっているのだとか。“第8巻”の作品名は「Harry Potter and the Chinese Empire(ハリー・ポッターと中国帝国)」。どうやら、中国人が無許可で書いた偽物のようなのだ。

「ハリー・ポッターと中国帝国」は無名の中国人作家が書いた作品。「ハリー・ポッター」シリーズの登場人物に中国の古典文学に出てくる有名人をごちゃ混ぜにしていて、内容も武侠小説と西洋魔術の要素を取り入れているのだそう。ハリー・ポッターやロン、ハーマイオニーらに交じって、「西遊記」の孫悟空や「水滸伝」の宋江なんかが登場するのかな。うーん、ちょっと面白そうかも(笑)。とはいえ、当然無許可で書かれたもので、「ハリー・ポッター」シリーズの作者であるJ・K・ローリングは法的手段に訴えるとしているのだ。

実は、中国で「ハリー・ポッター」の偽物が出版されたのは初めてではない。7月31日付の米紙ニューヨーク・タイムズでは、「Chinese Market Awash in Fake Potter Books」と題した記事で、2002年に出版された「Harry Potter and the Chinese Porcelain Doll」のほか、「Harry Potter and the Half-Blooded Relative Prince」「Harry Potter and the Hiking Dragon」や「Harry Potter and the Young Heroes」、「Harry Potter and Leopard-Walk-Up-to-Dragon」「Harry Potter and the Big Funnel」などの海賊版が出版されていることを紹介。これらは図書館にも置かれているとしている。

でも、これらの偽物は儲けようと書かれたものばかりではないようで、同紙は上海に住むサラリーマンが息子に「ハリー・ポッター」シリーズの第1〜6巻を買ってあげたところ、読み終わった息子が中国で出版されていない第7巻を読みたがったため、このサラリーマン本人が“第7巻”を書き上げたことも紹介している。「Harry Potter and the Showdown」と題したこの作品は「百度」上の「ハリー・ポッター」ファンサイトで延べ15万人が閲覧するという爆発的な人気作品となり、出版社からのオファーもひっきりなしだったようなのだ。

今回話題になっている「ハリー・ポッターと中国帝国」も、もともとは息子を思う父が書き上げたものなのかもしれない。しかし、出版された段階でこうした「よい話」も知的財産権の侵害になってしまう。同作品は数年前に出版中止となっており、出版社は著作権違反を自覚していたみたい。それでも出版されたことを考えると、中国の知的財産権に対する認識の低さを改めて実感させられるのだ。

ちなみに、J・K・ローリングは「ハリー・ポッター」シリーズとは別の新作の執筆に取りかかっているのだそう。子供向けと子供向けじゃないものの2つを同時進行しており、どちらかが次回作となるとのことで、「ハリー・ポッター」を超える名作になるのか、こちらにも注目なのだ。

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