サッカー4カ国大会日中戦で異常事態、サポーター同士の衝突も。

2007/08/04 12:04 Written by コジマ

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2008年の北京五輪開催に向けた予行演習イベント、「プレ五輪」。7月1〜10日の女子サッカー4カ国対抗戦を皮切りに、野球(8月18〜23日)や柔道(11月16〜18日)など、本番の会場を使ってさまざまな競技が開催されているのだ。

こうした中、22歳以下の日本、中国、北朝鮮、ボツワナの各代表が参加するサッカーの4カ国対抗戦(4カ国大会)も瀋陽五輪スタジアム(6万人収容)も8月1日に始まった。日本代表は第1戦の北朝鮮代表戦で、ボールの支配権を奪われながらも前半に2得点。後半にPKで1点差に迫られたものの、粘り強い守備で2-1と勝利したのだ。

続いて8月3日には開催国である中国代表と対戦したのだけれど、この試合で異常事態が発生した。まず主審、副審、第4審判と、審判団4人がすべて中国人だったのだ。国際試合では、当該国以外の国籍を持つ審判が主審を担当するのが常識。日本側には前日まで知らされず、もちろん抗議したものの、中国審判団の責任者が「我々はFIFA(国際サッカー連盟)の審判。安心しろ」(サンケイスポーツより)と説明し、変更はなかったのだ。

しかし、キックオフ後は予想どおりの展開で、日本代表が相手に体を寄せるだけでファウルの笛が吹かれ、逆に中国代表がハードなタックルやボールに関係ないところで脚を蹴っても見てみぬフリ。それどころか、中国代表のラフプレーに抗議すると、逆に警告を受けるという状態になったのだ。日刊スポーツによると、ファウルを取られた数は中国代表の16に対して日本代表は35だったのだそう。また、試合開始前のセレモニーでは、約5万人大観衆とともに審判団4人が中国国歌を斉唱していた。

これに対して、U-22日本代表の反町康治監督は「難しい環境のなか、よく戦った。私もサッカーをやって三十何年たつが、こんなレフェリーでサッカーをやったのは初めて。大会全体に“?”がつくような大会。あきれている。これは大会組織委員会のせいだ」(サンケイスポーツより)と、怒り心頭だったのだ。

また、開催地の瀋陽(旧奉天)は満州事変の発端となった柳条湖事件の現場で、反日感情の象徴的な土地となっている。そのためか、約5万人の大観衆は試合前の日本国歌斉唱の際にブーイングを浴びせ、試合終了時にはゴール裏手にいた日本人サポーター9人に対して次々に罵声と紙コップと投げつけた。スタンドから出口通路に殺到した中国人サポーターは、中国国旗を振り回しながら「小日本(日本の蔑称)」と叫ぶなど騒然とする中、日本人サポーター9人は公安当局のクルマで無事にホテルへ到着したそうで、ケガ人は出なかったのが幸いだったのだ。

こうした「完全アウエー」状態の中、日本代表は集中力を切らさずに0-0の引き分けに持ち込んだ。反町監督は怒りに震えながらも、「こうしたぎりぎりでの戦いの中でこそ、強化を図れる。選手の財産になった」とし、選手たちには「今日は体を張った守備とか、気持ちが表れていた。よくやったと誉めてやりたい」(日刊スポーツより)と絶賛していた。また、再三のピンチを救ったGKの西川周作選手は「主将を任されていたし、とにかく冷静にとみんなに呼び掛けた。自分のプレーで観客を黙らせたのは気持ちよかった」(同)とし、左すねを打撲したFWの李忠成選手も「これからのサッカー人生でいい経験になると思います」(スポーツナビより)とするなど、頼もしく語っているのだ。

今回の引き分けで中国代表に首位に立たれ自力優勝のなくなった日本代表だけど、DFの安田理大選手が「中国に負けないよう、1位になって帰りたい」(サンケイスポーツより)としているように、中国代表のラフプレーや不公平なジャッジングによって闘志に火がついたみたい。次のボツワナ代表戦(8月5日)では、思いっきりプレーしてほしいのだ。

それにしても、こんな状態ではサッカーに限らず本番の五輪で中国と対戦する国は、選手も観客も安心できないのではないだろうか。たった1年で中国人の意識が劇的に変わることはあまり期待できなさそうなので、北京五輪で大事件が起こらないか心配してしまうのだ。

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