NHKが最大100円の受信料値下げ案発表、各界からは怒りの声。

2007/07/25 23:06 Written by コジマ

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相次ぐ不祥事によって、受信料不払いの広がりが深刻化しているNHK。もともと受信料については否定的意見が根強かったのだけど、NHKは自らその火種を大きくしていったのだ。

こうしたことから、NHKは未払い者への民事手続きなどを昨年から開始し、2005年度に6024億円まで落ち込んだ受信料収入が06年度には6138億円まで回復。支払い拒否者も減少傾向にあるのだとか。

これとは別に、NHKは支払いの義務化を総務省に願い出ていたのだけど、菅義偉総務相は義務化するにあたって2割の値下げを要求。NHKはこれを拒否していたのだ。そのため、先の国会に提出された放送法改正案(継続審議中)に義務化は盛り込まれなかった。

受信料収入が回復したことでNHKは視聴者への「還元策」が必要と判断し、9月に発表されるNHKのこの先5年の経営計画が注目されているのだけど、7月24日にNHK執行部が示した値下げ案は、菅総務相が要求する2割には遠く及ばない値下げ幅だったのだ。

値下げ案は3つで、(1)訪問集金、口座振替・カード払いともに100円値下げする、(2)訪問集金は50円、口座振替・カード払いは100円値下げする、(3)口座振替・カード払いだけを100円値下げする―というもの。NHKの受信料は、カラー契約では口座振替で2カ月2690円、訪問集金で2カ月2790円となっており、衛星カラー契約ではそれぞれ4580円、4680円となっている(すべて税込み)。これから計算すると、今回の値下げ案では最大でも7.4%、(2)の案だと衛星カラー契約の訪問集金では2.1%の値下げにしかならない。あまりにも視聴者をバカにした案のため、各界から怒りの声が上がっているのだ。

夕刊フジでは、作家・麻生千晶氏の「総務省に言われたから、とりあえず提案しましたという、あまりにも姑息な話。腹が立ってしかたない」という声を紹介。同氏は受信料の義務化や値下げの議論の前にやるべきことはまだ多いとし、トップが橋本元一会長に変わっても海老沢勝一前会長の「エビジョンイル体制」のままだと批判しているのだ。義務化や値下げについては、NHK経営委員会の古森重隆委員長も「公共放送の役割や信頼回復を考えることが先決だ」(朝日新聞より)としている。

また、近頃は大リーグ放送の是非が問われているけど、麻生氏は「お客さんも入っていない午後3時台の大相撲を、地上波と衛星、ラジオの3波で放送しているのが象徴的な話。NHKは今、計8波もあるが、文化的な番組でもスポーツでも、あまりに意味のない番組を垂れ流している。まずは不要な“波”を返上するなど体制を縮小するのが先でしょう」とコメント。かなり怒り心頭のようなのだ。

さらに夕刊フジは、元NHK政治部記者で椙山女学園大学教授の川崎泰資氏の怒りも紹介。同氏は「視聴者をなめた話。こんなことを考える前に、NHKは公共放送とは何か、公共放送にとっての受信料は何かを議論して国民に示すべき」とし、一方で「国が公共放送の料金体系に介入し、NHKの国営放送化や罰則規定の設置につながるという点で間違っている」と、菅総務相への批判もしているのだ。

古森委員長が「100円、200円の値下げが視聴者の切実な願いだとは思えない」(朝日新聞より)と発言しているとおり、多くの視聴者が求めているのはもっと違う部分のような気がする。NHK執行部には視聴者に対する考え方を根本から検討し直してもらいたいのだ。

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