昨年末あたりから日本への上陸が囁かれ始め、日本語版のオープンへ向けた準備が着々と進められてきたリンドン・ラボの仮想空間サービス「セカンドライフ」。実際のドルに換金可能な「リンドン・ドル」(1ドル=300リンドン・ドル)という通貨の存在によって、「セカンドライフ」上で大儲けするユーザーが現れるなど、米国ではブログ、SNSに続く新たなネットの潮流ともてはやされてきたサービスなりよ。日本では電通を中心にプロジェクトチームが組まれ、さまざまな業種の企業が「セカンドライフ」に参入を表明してきたなりが、いよいよ7月17日、日本語版のサービスが正式にスタートしたなりね。
「セカンドライフ」を利用するためには、公式ページで配布されている専用のアプリケーション(日本語β版)をインストールする必要があるなり。OSはWindows XP/2000と、Mac OS 10.3.8以降に対応しているなりが、3Dのグラフィックがグリグリ動くので、あまり低スペックのパソコンだと上手く動作しない可能性があるなりよ。会員には2種類あり、無料の「ファースト・ベーシック」か、「セカンドライフ」内に自分の土地が持てる「プレミアム」(月額9.95ドル)のどちらかを選択するようなりが、ちょっとクセのあるサービスなので、まずは「ファースト・ベーシック」から始めて、「セカンドライフ」の世界を覗いてみたほうが無難かもしれないなりね。
さて、こうして始まった日本語版のサービス。ログインすればすでに企業のアンテナショップのようなモノがゴロゴロとしているわけなりが、一部には早くも「セカンドライフ」の成功を危ぶむ声も出てきているなりよ。例えば
スラッシュドットは、「企業のマーケティング担当者はSecond Lifeを見限り、撤退し始めた」「公式発表で800万人以上とされるSecond Lifeのユーザ数がひどく誇張されたもので、多くはサインインはするもののそのまま戻ってこない」と、ロサンゼルスタイムスの記事を引用する形で米国の現状を紹介。該当記事のコメント欄には、やはり辛口な批判の言葉が並んでいるなりね。
また、日本経済新聞に掲載されたコラム「
日本企業は『セカンドライフ』のいいお客さん」では、「米国ではセカンドライフの一人勝ちというわけではない。例えば4月や5月の数字を見る限り、セカンドライフはバーチャルワールドへのアクセス数のトップ10にも入っていない」と米国の現状を分析。日本の仮想空間サービスは「セカンドライフ」だけがもてはやされているとした上で、「メディアによる過剰な報道の結果、企業の広告の場、一山当てたい企業が集まる場」と評しているなりね。
すでに多くの人が感じていることなりが、「セカンドライフ」日本語版は電通と、そこにぶら下がる企業が先導して創り上げてきた世界ゆえ、どうしてもそこかしこに悪い意味での「広告臭」が漂ってしまい、結果として純粋にその世界を楽しもうという能動的なユーザー獲得に繋がらない恐れがあるなり。過去のネットサービスを振り返っても、コンテンツよりもまず広告ありきで始まったサービスには成功例が乏しいことから、「セカンドライフ」日本語版の成功を危ぶむ声があるのは、ごくごく自然なことなりよ。広告は立派、でもそれを見るプレイヤーがいないという、スタート時点に起きている「空洞化」が解消できるかどうかが、「セカンドライフ」日本語版の成否を分ける大きなポイントになるなりね。
果たしてメディアの異常とも言える「セカンドライフ」狂騒曲は、そのまま「セカンドライフ」の隆盛に繋がるのか、はたまた単なる空騒ぎに終わるのか。皆さんは「セカンドライフ」、実際にやってみたいと思うなりか?