（このコラムには映画のネタバレが含まれている可能性があります。ご注意下さい）

5月中旬から夏休みモードに突入した米国。ハリウッド映画界では、「シュレック 3」「スパイダーマン 3」、「パイレーツ・オブ・カリビアン／ワールド・エンド」と、3大シリーズ作品が、夏の封切作品として公開されました。しかし夏休みは9月まで……。余裕で3か月半は続きますから、最初に大物を公開させてもその後が続かなきゃ、活気が出ません。果たしてこれから夏の終わりまで、見モノの映画は登場するのでしょうか？ 気になる公開予定のハリウッド映画を、今回はシリーズ･コラムでお届けします。

今回ご紹介するのは今年7〜8月に公開される予定の作品。日本でも話題となっている映画や、反対に日本ではDVD発売のみで終わってしまうかもしれない、レアな作品まで、いろいろ厳選してみました（カッコ内は公開予定日）。

■"Shortcut to Happiness"（7月18日）

1941年公開の映画「悪魔の金」の現代版リメイク。ニューヨークで売れない作家を続けるジャベス・ストーン（アレック・ボールドウィン）が悪魔に魂を売ることで名声を手に入れます。しかしその代償があまりにも大きく、困り果てた彼はダニエル・ウェブスター（アンソニー・ホプキンス）に助けを求めます。実はこの作品、2001年にもう撮影が完了して "The Devil and Daniel Webster" （オリジナルと同タイトル）の名で公開されるハズでした。しかし投資者の不正が見付かったなどの資金問題が発生。配給が不可能となり、お蔵入り寸前だったのです。今回新しい配給会社を見つけて、やっと日の目を見ることに。よかったねぇ。

■"Sunshine"（7月20日）

日本ではすでに公開されていますが、キリアン･マーフィ（「バットマン･ビギンズ」）、真田博之、ミッシェル･ヨー（「SAYURI」）らが出演するスペース･サスペンス「サンシャイン 2057」が米国でも公開に。太陽が燃え尽きてしまいそうになる今から50年後、太陽を活性化させるには、巨大な核弾頭を宇宙船で打ち込む必要があります。そのミッションを担う「イカロス 2号」に乗り込んで出発した8人の宇宙飛行士たち。果たして作戦は成功するのか？ 地球は救うことが出来るのか。閉鎖された宇宙船の中での乗組員の心理戦が見ものです。

■"Hairspray"（7月20日）

映画が舞台ミュージカル化され、さらにそのミュージカルが映画化される……。1988年にオリジナルの映画が公開された「ヘアスプレー」は、実に面白い進化を遂げている作品です。そういえば「プロデューサーズ」も同じ道を歩んでいますね。バルチモアに住む高校生、トレーシーはダンスが大好きな女の子。ある日その才能が認められてローカルTVのダンス番組にレギュラー出演することが決まりました。ところが彼女のぽっちゃりとした体型がダンサーに相応しくない！ と反対する人々が現れて……。この映画の最大の見物はなんといっても、トレイシーの母親役。なんとジョン･トラボルタが女装してやってます（笑）。

■"I Now Pronounce You Chuck And Larry"（7月20日）

チャック（アダム･サンドラー）とラリー（ケヴィン･ジェイムス）は、マッチョな消防士デュオ。危険な仕事も2人で助け合ってこなす親友同士です。ある日ラリーは火災現場で危うく命を失いかけたチャックを救います。それに感動したチャックは、「お前のためなら何でもする！」と……。それに対するラリーのリクエストとは？ 子供の将来を心配するラリーが、チャックを巻き込んで選んだ、とある詐欺行為。果たして周囲を騙し続けることが出来るのでしょうか？

■"Arctic Tale"（7月25日）

「皇帝ペンギン」（2005年）の制作元「ナショナル・グラフィックス」がお届けするアニマル・ドキュメンタリー。この前は南極だったけど、今度は北極です（笑）。セイウチのシーラと、ホッキョクグマのナヌーの成長を追ったストーリーです。「皇帝ペンギン」の英語版ではモーガン・フリーマンがナレーターを務めましたが、今回は「シカゴ」（2002年）で刑務所看守のママ・モートンを演じたクイーン・ラティファが起用されています。

■"The Simpsons Movie"（7月27日）

ご存知、米国の長寿アニメ「ザ･シンプソンズ」が初の映画化。製作者いわく「ホーマー･シンプソンのおバカ振りを表現するには、時にはテレビのモニターだけではスペースが足りない。劇場用の大スクリーン全部を使い切らないと」。……一体全体今回はどんな失敗をやらかしたんでしょうか、彼は（笑）。

（つづく）