チャイコフスキー国際コンクールでバイオリンの神尾真由子さんが優勝。

2007/06/30 12:25 Written by コジマ

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ロシアを代表する作曲家、ピョートル・チャイコフスキーの名を冠するチャイコフスキー国際コンクール。モスクワで4年に1度開かれるこのコンクールは、最高峰の登竜門として君臨しているのだ。1958年にバイオリンとピアノのコンクールとしてスタートし、第2回(62年)にチェロ部門、第3回(66年)に声楽部門、そして第9回(90年)にはバイオリン製作者部門が設けられている。

会場となるモスクワ音楽院大ホールの改修のため今年に延期された第13回大会(本来は昨年開催)では、6月13日に先立って行われたバイオリン製作者部門で日本の菊田浩さんが見事優勝。2位と4位にも高橋明さんと天野年員さんが選ばれ、バイオリン製作の最高峰コンクールで日本人が上位をほぼ独占したのだ。3人はともにバイオリン作りの本場であるイタリア・クレモナに在住し、別々の工房で活躍するライバル同士。優勝した菊田さんは、昨年5月にポーランドで開かれたヘンリク・ビエニアフスキ国際バイオリン製作コンクール(バイオリン製作世界3大コンクールの1つ)でも優勝しているのだ。

こうした中、29日に行われたバイオリン部門本選会で、またしても日本人が優勝した。大阪出身の神尾真由子さんで、同コンクール演奏・声楽4部門での日本人優勝者は前回(02年)ピアノ部門の上原彩子さんに続いて4人目、バイオリン部門では第9回(90年)の諏訪内晶子さん以来2人目となる快挙なのだ。

1986年に大阪府豊中市に生まれた神尾さんは、4歳でバイオリンを始め、96年に全日本学生音楽コンクール全国大会小学校の部で小学4年生にして優勝。翌年には、スイスの世界的指揮者であるシャルル・デュトワ指揮のもとNHK交響楽団と共演し、10歳にしてソリスト(独奏者)デビューした神童だったのだ。

98年に英国のユーディ・メニューイン国際コンクール・ジュニア部門で入賞し、00年には超名門であるニューヨークのジュリアード音楽院プレカレッジに留学。02年の帰国後は桐朋女子高に入学(同校初の特待生)して国内外のコンクールで優勝し、現在はスイスのチューリヒ音楽演劇学校でカザフスタン出身の世界的バイオリン奏者であるザハール・ブロン氏に師事している。著名オーケストラとの共演も多く行っているのだ。

6人が残った29日の本選で、神尾さんは最後の演奏者として登場。チャイコフスキーとシベリウスのバイオリン協奏曲をサントリーから貸与されている1727年製のストラディバリウスで演奏し、見事優勝を果たした。

同コンクールで審査員を務めたことがあるブロン氏の弟子であること、今回からトヨタがスポンサーになったことなどの影響はゼロではないかもしれないけど、「本当にうれしい。モスクワに来てから調子がいいのか悪いのか分からなくなり、落ち込んでいた。逃げ出さずに弾いてよかった」(時事通信より)と胸のうちを語った神尾さん。21歳になった神童が、世界有数のバイオリン奏者となる日も近いのだ。


☆チャイコフスキー国際コンクールでの日本人優勝者(演奏・声楽4部門)

第9回(1990年) 諏訪内晶子(バイオリン部門)
第11回(1998年) 佐藤美枝子(声楽部門・女声)
第12回(2002年) 上原彩子(ピアノ部門)
第13回(2007年) 神尾真由子(バイオリン部門)

※第12回のバイオリン部門では神尾さんの姉弟子である川久保賜紀さんが1位該当者なしで2位となっている。

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