1994年に発売した「プレイステーション」、2000年に発売した「プレイステーション2」によって、10年以上の長きに渡りゲーム市場を席巻してきたソニー(SCEI)。特に「プレイステーション」発売当時、すでに1,700万台とも言われる台数が普及していた任天堂の「スーパーファミコン」から顧客を奪取し、「ファミリーコンピュータ」時代から続いていた任天堂の「王国」を崩したのは鮮やかだったなりが、その原動力のひとつが充実したソフト群だったことは疑いようのない事実なりよね。「ソフトのラインアップによっては下克上が起きる」という現実をまざまざと見せつけた好例でもあったなり。
「スーパーファミコン」から「プレイステーション」に鞍替えしたソフトの例としては、スクウェア(当時)の「ファイナルファンタジー」シリーズ、エニックス(当時)の「ドラゴンクエスト」シリーズの二大RPGがあまりに有名なりが、ほかにもナムコ(当時)が主力タイトルの開発を「プレイステーション」に移行したり、比較的マルチプラットフォーム戦略を採っていたコナミやカプコンも「プレイステーション」に主軸を移したりと、大手のソフトメーカーの力を借りてソニーが「王国」を築いたのは記憶に新しいところなりよ。
でも、再三語られているように、ソニー陣営の「プレイステーション3」&「PSP」と、任天堂陣営の「Wii」&「ニンテンドーDS」の競争では、現時点では任天堂陣営の圧勝ということもあり、ソニーはこれまで築き上げてきた「王国」に崩壊の足音が聞こえ始めているなりね。そして、かつて任天堂の「王国」を崩した時と同じように、皮肉にも今度はソニー陣営からソフトメーカーが離れ始めているなりよ。
日本経済新聞によると、ソフトメーカー大手のバンダイナムコとセガは、2007年度に発売する任天堂向けソフト数を前年度比で倍増を計画。これにカプコンを加えた大手3社の出荷本数は、任天堂向けがソニー向けを逆転するなど、着実に地殻変動が起きてきているなりよ。普及が思うように進まないことに加え、高性能を売りにしている「プレイステーション3」は製作費が高騰しているにも関わらず販売本数が奮わないという負のスパイラルに陥っているため、低予算でも数十万〜数百万のヒットが見込める「ニンテンドーDS」などにリソースを割いたほうが良いという経営判断は至極当然のこと。ほかのソフトメーカーもこの動きに追随する可能性が高く、しばらくは「ソニー離れ」が続きそうな気配なりね。
過去のゲームの歴史からしても、これは決して楽観できるものではなく、ソニー陣営にとっては深刻な状況と言わざるを得ないなりよ。「プレイステーション3」が逆襲を仕掛けるためにはソフトメーカーの協力は必須。「ソニー離れ」を引き留めるだけの施策を早めに検討しなければ「惨敗」の二文字が見えてくることになりそうなり……。